◆SPMシート(7)コストとプロジェクトサマリー
PMstyleでは、2011年から『シンプルプロジェクトマネジメント』セミナーを開催しています。
小規模なプロジェクトにおいて、メンバーがセルフマネジメントによって作業を自律的に行い、過剰な管理はしないシンプルなマネジメントについて解説しています。
その中では、、『オーナーシップ』というマネジメントの考え方を取り入れ、すべてのアクティビティや要素成果物はタスクオーナー(メンバー)にアサインされ、タスクオーナーは、説明責任、実行責任、権限を持ち、アクティビティや要素成果物について、プロジェクトマネジャーやリーダーはタッチしませんので、リスクマネジメントについては考えません。
そして、A4 1枚のスプレッドシートであるSPMシートで計画を作成し、進捗を管理します。ここまでは、第58回にて書きました。
PMの道具箱(58) SPMシートとは
SPMシートは、次のSTEPで作成します。
第59回では、STEP1:ヘッダー
第60回では、STEP2:オーナー
第61回では、STEP4:プロジェクト目標、STEP5:主要タスク、
STEP6:目標とタスクとの関連
第62回では、STEP7:ターゲット日付、STEP8:タスクのタイムライン、
STEP9:タスクのオーナー
について書きました。
STEP1:ヘッダー PMの道具箱(59)ヘッダーに書くこと
STEP2:オーナー PMの道具箱(60)オーナー
STEP3:マトリクス
STEP4:プロジェクト目標 PMの道具箱(61)プロジェクト目標とタスクの関連
STEP5:主要タスク
STEP6:目標とタスクとの関連
STEP7:ターゲット日付 PMの道具箱(62)ターゲット日付とタイムライン
STEP8:タスクのタイムライン
STEP9:タスクのオーナー
STEP10:定性的なタスク PMの道具箱(63)定性的タスク
STEP11:コスト
STEP12:プロジェクトサマリーと今後の予測
第59回では、STEP1:ヘッダー、
第60回では、STEP2:オーナー、
第61回では、STEP4:プロジェクト目標、STEP5:主要タスク、STEP6:目標とタスクとの関連、
第62回では、STEP7:ターゲット日付、STEP8:タスクのタイムライン、STEP9:タスクのオーナー
第63回では、STEP10:定性的なタスクについて書きました。
さて、シンプルプロジェクトマネジメントでは、最低限の計画を、オーナーシップ、タイムライン、コスト、目標、タスクの5つとし、簡単にいえば、オーナーシップが明確にされたタスクと、そして、目標との関係を明確にしながら、各タスクのオーナーが時間とコストの制約の中でプロジェクトを進めていくようなプロジェクトマネジメントです。
SPMシートでは、次のステップで、それぞれの項目について、計画しています。
●オーナーシップ →STEP1:ヘッダー
STEP2:オーナー
STEP9:タスクのオーナー
●タイムライン →STEP7:ターゲット日付
STEP8:タスクのタイムライン
●コスト →STEP11:コスト
●目標 →STEP1:ヘッダー
STEP4:プロジェクト目標
STEP6:目標とタスクとの関連
●タスク →STEP5:主要タスク、STEP10:定性的なタスク
本号では、STEP11のコストについて書き進めます。
シンプルプロジェクトマネジメントでは、明確なコストの費目や見積もりの単位やコストの計上ルールなどはありません。各タスクオーナーがオーナーシップを持って、与えられた予算をオーバーしないように管理します。
SPMシートにおける記載は、バーチャート(棒グラフ)で書くことが望ましいと規定されているだけで、ここにも明確なルールはありません。ただ、ターゲット日付の進捗報告日において、
・赤:このままでは予算をオーバーする
・黄:オーバーしそうではあるが、何とか予算以内に収まりそう
・緑:予算をきちんとキープしている
の信号色でコストについて、報告することになっています。つまり、予算についても各タスクオーナーに権限移譲され、進捗管理では、今後の予測をするのみです。
もちろん、問題があれば、会議の俎上にあげ、チームで解決していきます。チームによる問題解決についての詳細は、こちらをご覧ください。
PMの道具箱 第51回 チームによる問題解決
また、コストのエリアに記載する棒グラムの棒については、できれば、目標単位にすることが望ましく、オーナー単位でもOKですし、プロジェクト全体の管理でもかまいません。
STEP11までが、SPMシートにおける計画のステップです。そして、計画が完成すれば、
STEP12の「プロジェクトサマリーと今後の予測」に、「○年○月○日にプロジェクトはスタートした」と記載します。
従って、SPMシートでは、下記の場所に日付を記載し、タイムに関する状況をA4 1枚のシートで把握することができます。
STEP1:ヘッダー ←計画作成日とプロジェクト完了日
STEP7:ターゲット日付 ←進捗を管理するタイミングの日付
STEP12:プロジェクトサマリーと今後の予測
←プロジェクト作業がスタートした日
各進捗報告日におけるプロジェクトの状況
問題があれば、状況と対策を簡潔に記載
そして、STEP12に記載したことが、プロジェクトのサマリーとなります。
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6.トラブルの本質を見極め、対応する
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。