◆SPMシート(4)プロジェクト目標とタスクの関連
PMstyleでは、2011年から『シンプルプロジェクトマネジメント』セミナーを開催しています。
小規模なプロジェクトにおいて、メンバーがセルフマネジメントによって作業を自律的に行い、過剰な管理はしないシンプルなマネジメントについて解説しています。
その中では、、『オーナーシップ』というマネジメントの考え方を取り入れ、すべてのアクティビティや要素成果物はタスクオーナー(メンバー)にアサインされ、タスクオーナーは、説明責任、実行責任、権限を持ち、アクティビティや要素成果物について、プロジェクトマネジャーやリーダーはタッチしませんので、リスクマネジメントについては考えません。
そして、A4 1枚のスプレッドシートであるSPMシートで計画を作成し、進捗を
管理します。ここまでは、第58回にて書きました。
PMの道具箱(58) SPMシートとは
SPMシートは、次のSTEPで作成します。
第59回では、STEP1:ヘッダー
第60回では、STEP2:オーナー
について書きました。
STEP1:ヘッダー PMの道具箱(59)ヘッダーに書くこと
STEP2:オーナー PMの道具箱(60)オーナー
STEP3:マトリクス
STEP4:プロジェクト目標
STEP5:主要タスク
STEP6:目標とタスクとの関連
STEP7:ターゲット日付
STEP8:タスクのタイムライン
STEP9:タスクのオーナー
STEP10:定性的なタスク
STEP11:コスト
STEP12:プロジェクトサマリーと今後の予測
本号ではSTEP4のプロジェクト目標に何を記載するのかを解説します。
ここには、もちろん、プロジェクトの目標を記載します。
目標ですので、STEP1:ヘッダーに記載した「プロジェクトの目的」が実現でき
たことを確認することができる指標です。
プロジェクトマネジメントでは、目的を常に考えて計画し、行動することが重要ですが、どちらかと言いますと、目的は具体的なものではなく、イメージ的なもの、プロジェクトが終わったときの状態などを言語化したものです。
ですが、その目的が実現できたかどうかは、イメージ的なものであるため、確認することが困難です。そのために、かつ、計画を作成するために目標(5W2H)を設定します。
よく言われることなのですが、目標は、SMARTであるべきです。
・S・tretch:期待を上回る目標
・M・easurable:QCDSに定量的な目標
・A・ccepted:メンバーが納得する目標設定
・R・esource:プロジェクト計画に裏打ちされた目標
・T・ime:期限が明示された目標
SPMシートでは、次に、STEP5:主要タスクに目標を達成するために行う作業(タスク)を記載します。プロジェクトの計画は、段階的詳細化を行いますので、すべて、細かくタスクを洗い出す必要はありません。
段階的詳細化については、こちらもご参照ください。
はじめてのプロジェクトマネジメント
第21回 段階的詳細化におけるマネジメント計画
そして、次の、STEP6:目標とタスクとの関連がこのSPMシートの肝です。
ここには、プロジェクトの目標とタスクの関連付けを記載します。
その作業(タスク)は、どのプロジェクト目標を達成するための作業なのかを明確にし、関連があるセルに「○」印をつけます。
その関連付けによって、プロジェクトの目的を実現するためのプロジェクト目標と関連しているタスクが一目瞭然でわかるようになります。
また、目標の優先順位によって、タスクの優先順位が決まりますので、納期が迫り、予算もなくなり、何かを削らないといけないような場合など、そのプロジェクト目標とタスクの関連付けを確認することによって、削減するタスクが決まってきます。
また、その決断を、SPMシートを見ながらチームメンバーとともに行うことによって、チームメンバーの合意を得ることもできますので、コミュニケーションの手段、チームマネジメントのツールとしても有効です。
それでは、次回は、STEP7:ターゲット日付に進みます。
◆目的と目標、オーナーシップを重視したシンプルプロジェクトマネジメントのセミナーを開催します
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。