◆SPMシート(2)ヘッダーに書くこと
PMstyleでは、2011年から『シンプルプロジェクトマネジメント』セミナーを開催しています。
小規模なプロジェクトにおいて、メンバーがセルフマネジメントによって作業を自律的に行い、過剰な管理はしないシンプルなマネジメントについての解説です。
その中では、『オーナーシップ』というマネジメントの考え方を取り入れ、すべてのアクティビティや要素成果物はタスクオーナー(メンバー)にアサインされ、タスクオーナーは、説明責任、実行責任、権限を持ち、アクティビティや要素成果物について、プロジェクトマネジャーやリーダーはタッチしませんので、リスクマネジメントについては考えません。
そして、A4 1枚のスプレッドシートであるSPMシートで計画を作成し、進捗を管理します。
SPMシートは、次のSTEP(必ずこの順番)で作成します。
STEP1:ヘッダー
STEP2:オーナー
STEP3:マトリクス
STEP4:プロジェクト目標
STEP5:主要タスク
STEP6:目標とタスクとの関連
STEP7:ターゲット日付
STEP8:タスクのタイムライン
STEP9:タスクのオーナー
STEP10:定性的なタスク
STEP11:コスト
STEP12:プロジェクトサマリーと今後の予測
前回は、ここまでを記事にしました。
PMの道具箱(58) SPMシートとは
本号ではSTEP:1のヘッダーに何を記載するのかを解説します。
通常、画面やレポートなどの表では、目が行きがちな上部、左側に重要なことを置きます。
SPMシートでも、目立たせたいことを上部にヘッダー、見出しとして記載します。
ヘッダーとして記載すること(常に意識したいこと)は、次の5つの項目です。
・記入日:計画を作成した日を明確にします
・プロジェクト名:できれば目的や目標を含めたネーミングで、チームで決めます
・プロジェクトマネジャー名:責任者を明確にします
・プロジェクト目的:短くかつ簡潔な文章にまとめ、常に意識するようにヘッダーに記載します
・プロジェクト完了日:常に意識するように、ヘッダーに記載します
そして、次に、目立つ左側には、プロジェクトの目標を記載しますが、SPMシートの作成順では、目標はSTEP4となり、STEP2では、チームメンバーを記載します。
プロジェクト名をチームで考えて、できれば、プロジェクト目的に同意(共有、一緒に作る)するためにも、シンプルプロジェクトマネジメントの計画はチームで作成することを歓迎します。
そんな時間はなく、早く設計など作業に取り掛かりたい、という声も多いのですが、目的や目標も知らずに理解せずに、行う作業は無駄が多いはずですし、何か判断をしないといけない場合、よりどころはどこでしょうか?
目的を実現するため、目標を達成するための作業ですので、目的や目標を知らない、理解しない、同意していない場合、間違った判断をしてしまいます。
パフォーマンス効率を考えた場合、目的、目標をチームで考える、決めることは、是が非でも行うべきのことなのです。
それゆえ、STEP2では、タスクオーナー名を記載するのですが、ここからは次回にしたいと思います。
また、プロジェクト目的の作成方法についてですが、プロジェクト憲章の作成ツールとして、下記のコラムの中に「5つの質問」がありますので、ご覧ください。
PMの道具箱(34) プロジェクト憲章作成ツール
◆関連セミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルなプロジェクトマネジメントのポイント ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2025年 02月 13日(木)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2024年 12月 18日(水)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 01月 22日(水)24日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.VUCA時代に必要なコンセプチュアルなプロジェクトマネジメント
2.プロジェクトへの要求の本質を反映したコンセプトを創る
3.コンセプトを実現する目的と目標の決定
4.本質的な目標を優先する計画
5.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
6.トラブルの本質を見極め、対応する
7.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。