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イノベーションの種類は、破壊的イノベーション/持続的イノベーション、イノベーションマトリクス(問題とドメイン(分野)を縦横の軸に取ったマトリクス)にて分類できる。詳細には、5つの視点(目的、リソース範囲、推進力、スパン、タイプ)で分類

第100回 イノベーションの本質~イノベーションの種類(2016.10.12)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆はじめに

イノベーションの本質の第2回で、今回はイノベーションにはどういうものがあるのかを考えてみたい。体系がなぜ本質だと思われる方もいるかもしれないが、イノベーションの種類は体系というよりも、イノベーションの戦略を立てるときに本質的な要素になる。


◆破壊的/持続的

イノベーションの種類で有名なのは、クレイトン・クリステンセン博士が20年前に提唱した破壊的イノベーションと持続的イノベーションであろう。これについては、第98話で書いたので、こちらを参考にしてほしいが、一言でいえば従来の価値観を崩壊させ、新しい価値を確立することが破壊的イノベーションで、価値観を変えずに価値を増やしていくのが持続的イノベーションである。

【イノベーション戦略ノート:098】アップルのイノベーションのジレンマ

大きな意味でイノベーションの戦略を策定するときには、まず、破壊的イノベーションを狙うのか、持続的イノベーションにとどめるのかを明確するところから始まる。


◆イノベーションマトリクス

これをもう少し、精緻にしたイノベーションマトリクスという考え方もある。イノベーションマトリクスは問題とドメイン(分野)を縦横の軸に取ったマトリクスだ。それぞれ、値は定義されている/定義されていないである。

このマトリクス上で4つの領域が出てくるが、まず、問題もドメインも定義されていない状況でのイノベーションがある。これは「問題の洗い出し」と呼ばれる。前回述べたが、イノベーションを新しい商品を作ることだと考えると、この領域はイノベーションとはいえない。

ところが、前回述べたように3Cを求める活動がイノベーションだと考えた場合、この領域で、問題を見つけ、ドメインを探すことは極めて重要なイノベーションだと言える。このタイプのイノベーションは企業で行われることはあまりなく、主要な実施場所は大学である。日本のイノベーション力が弱い一つの原因は、このタイプのイノベーションが活性化されていないことにある。

次に、問題は定義されていないが、ドメインは発見されているケースがある。基本的にスタートアップで起こっているイノベーションはこのタイプだ。このタイプのイノベーションは「破壊型イノベーション」と呼ばれる。

逆に、問題は定義されているが、ドメインが定義されていないケースがある。このタイプのイノベーションで代表的なものはオープンイノベーションである。このタイプのイノベーションは「ブレイクスルーイノベーション」と呼ばれる。一般的にブレークスルーというのはこういう意味である。

そして、最後の領域は問題定義もドメイン定義もされているケースだ。このタイプのイノベーションは「持続的イノベーション」と呼ばれる。一般的にはR&D活動として、長期間に渡り、継続して商品の改良を行うイノベーションである。

商品開発とイノベーション活動が結びつけてイメージしているのはこのタイプのイノベーションが圧倒的に多いことによる。ただし、前回述べたようにこの分野だけではイノベーションを持続的に起こしていうのは難しい。

このようにイノベーションマトリクスを使うと、イノベーションの区分がもう少し厳密に定義され、イノベーションの戦略を作る中では十分な粒度の区分だといえる。


◆もっと詳細なイノベーションの分類

ただ、経営戦略の中でイノベーションの分類をするには、少し粒度が粗いと感じるケースが多い。そのような場合は、以下の5つの視点からイノベーションを分類することをお奨めしたい。

(1)イノベーションの目的
(2)イノベーションのリソース範囲
(3)イノベーションの推進力
(4)イノベーションのスパン
(5)イノベーションのタイプ

詳細は戦略ノートの第5~6話を参照してほしい。

【イノベーション戦略ノート:005】イノベーションを分類する(1)

【イノベーション戦略ノート:006】イノベーションを分類する(2)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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