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第5回 イノベーションを分類する(1)(2013.05.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆イノベーションの分類軸

イノベーションという言葉に関しては、イメージが独り歩きしているような感じになってきた。いろいろなところにイノベーションという言葉がみられるようになってきた。戦略ノートで議論を進めていくにあたって、少し概念の整理をしておきたい。

整理に当たっては

(1)イノベーションの目的
(2)イノベーションのリソース範囲
(3)イノベーションの推進力
(4)イノベーションのスパン
(5)イノベーションのスピード
(6)イノベーションのタイプ

の6つの軸について考える。

◆目的からみた区分

イノベーションというと、競争に勝つということが目的だと思うことが多いが、実際には最近イノベーションのキャッチフレーズになっている「生き残り」という考え方があるように、競争だけが目的だとは限らない。イノベーションは

・勝つことが目的のイノベーション
・負けないことが目的のイノベーション

の2つがあることをよく理解しておく必要がある。製品イノベーションでいえば、前者はシェアを増やしたり、売り上げを増やすことを目的にした製品を投入することである。後者は競合が投入したイノベーティブな製品にシェアをとられないために、自身もイノベーションしなくてはならないようなケースだ。

この区別を明確にしてイノベーションに取り組む必要がある。技術やリソースの位置づけが違ってくるし、製品として必要な要件も変わってくる。基本的には競合対策だが、あわよくば競合のシェアを奪うなどと考えていると、ステークホルダーに混乱が起こり、失敗する確率が高くなる。


◆イノベーションのリソース範囲による区分

次に、大きな区分はオープンイノベーションとクローズなイノベーションである。オープンイノベーションという概念は本来、イノベーションのリソースを自社に限らず、企業の範囲を超えて幅広く求めようとするものだった。

たとえば、新しい製品を作る場合、従来は自社の保有する技術やアイデアでできるもの、あるいは、多少の技術開発を伴う範囲でイノベーションを行っていた。ところが、このような考え方だと市場や顧客の要求の変化の激しい環境では対応できなくなってきた。そこで、どのような製品と作るかという目標は市場のニーズに基づいて設定し、提携などで他社の持つ技術やアイデアを使って目標となる製品を開発するという考え方をするようになってきた。これがオープンイノベーションである。

これに加えて最近では、「エコシステム」のイノベーションもオープンイノベーションだと認識されることが多い。エコシステムは、複数の企業が製品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、相互の技術や資本を生かしながら、共存共栄していく仕組みのことである。実際には、メーカ、サプライヤー、代理店、販売店などから構成されることが多い。たとえば、マイクロソフトという会社はゲーム機は作ってもPCは作らなかった。ゆえに、Surfaceを発売したことは波紋や憶測を投げかけた。自社のOSを中心にして、デベロッパー、ベンダー、サードパーティー、ユーザーが有機的に結びつき、共に成長していくエコシステムの収益モデルが提唱され、実際に成果を上げてきた。

エコシステムではイノベーションを起こすには、エコシステム全体でイノベーションを起こさなくてはならない。最近、ついにマイクロソフトがWindows XPのフェードアウトを表明して話題になったが、XPからVistaへのイノベーションはエコシステムで失敗している。ベンダーやサードバーティーがついていくことができず、結果として、Vistaに切り替えが行われなかった。


◆イノベーションの推進力

イノベーションは個人に依存した活動だと思われることが多い。第1回に述べたように日本の経営者には、イノベーションは特に経営資源を割かず、個人がやってくれればよいと考えている人が少なくない。

確かにそういう一面もある。個人が何か閃き、それを頑張って組織にアピールしながら製品やサービスとして世に出していくようなイノベーションも決して少なくない。

しかし、本来イノベーションは戦略実現のために行われるものである。この20年、低成長が続いているがそれでも企業の経営計画には毎年、成長が盛り込まれている。
企業が成長する手段は、

・M&A
・商材の増加(製品数を増やす)
・イノベーション

の3つしかない。分野にもよるが、市場が成熟してくると、ラインナップとして似たような商品を増やしたり、サービス要員を増やしても売り上げの増加を期待できない。したがって、M&Aか、イノベーションが現実的な方法となってくる。

このような戦略に基づくイノベーションは個人に任せておいても進展は期待できない。もう一つの日本的な展開は、ミドルが自らやってくれることである。これは、また機会を見て議論したいが、ミドルのパワーが推進力の一つになることは間違いない。

もう一つは、組織による推進である。戦略実行であるので、組織としてイノベーションのプロセスを確立し、失敗することも含めて組織として管理をして進めていくことが必要になるケースが多い。

(4)のスパン以降は次回。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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