プロジェクト品質の家
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◆プロジェクト品質の家(QFD:Quality Function Deployment)(5)
1年ぶりのPMの道具箱シリーズです。
プロジェクト品質の家についての続きです。
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プロジェクト品質の家は、顧客の期待をスコープに取り込み、顧客の期待・要望を満足するためにプロジェクトの仕様の優先度を決めるためのツールです。
もともと、品質機能展開(QFD)は、高い品質を実現するために、設計段階で品質をコントロールしようと1960年代に考えられた手法です。
品質機能展開(QFD)では、表の行に要求される品質を,列にコントロール可能な品質要素を記載したマトリックス(品質要求展開表)を用いて、互いの関係付けから重要性の高い品質要素を明らかにしていく手法です。
要求される品質であるWHATとそれを実現していくためのコントロール可能な要素であるHOWとの関連をマトリックスのセルで表現しています。
このQFDをプロジェクトマネジメントに応用したものが、プロジェクト品質の家です。
プロジェクト品質の家では、WHATである顧客の期待を、1)に記載します。
そして、顧客の期待を実現していくためのHOW(プロジェクトの進め方)を2)に記載し、1)と2)の関連の有無やその度合いを3)に記載します。
2)に記載する項目についてですが、ここにはHOWを記載しますので、顧客の要求、期待を実現していくための成果物の特徴や成果物の品質、プロジェクトの進め方を挙げていきます。
たとえば、プロジェクトの進め方であれば、各知識エリアのマネジメントの方針などを挙げていきます。例えば、リスクマネジメントの重視などです。
また、今までには考えられなかったような納期が顧客の要求あれば、2)には、スケジュールリスクの緻密な管理や、マイルストーンでの段階的詳細化による顧客とのスコープ確認などが挙げられます。
また、成果物の生産原価の低減が1)の顧客の期待であれば、それを実現するためのプロジェクトの仕様として、2)では原価企画によるコストの作りこみや生産プロセスの改善などが挙げられます。
そもそも、このプロジェクト品質の家は、プロジェクトの立上げ時のプロジェクト憲章作成と前後して、これからプロジェクトの計画を作成するために、プロジェクトの品質としての、プロジェクトの仕様、その優先度やプロジェクト品質目標を決めるためのツールです。
プロジェクト仕様として、成果物スコープやプロジェクトスコープを決めますが、その中で、成果物の品質に関することやタイム、コストに関することなどが挙げられますと、その間には必ず相関関係が出てきます。例えば、タイムを重視すると、コストが予算オーバーになったり、成果物の品質を重視すると、スケジュールが遅れたり、予算オーバーになってしまいます。そこには負の相関関係がありますが、反対に正の相関関係が出てくる場合もあります。それらの相関関係を※)の屋根の部分に記載してきます。
次回は、プロジェクト品質の家の3)について解説を続けます。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。