82回では、Tチャートというツールを使った、バランス感のある意思決定について述べました。
第82回 Tチャート:バランス感のある意思決定をする
Tチャートとは、T型の線を引き、最上段に二つの標題を書くスペースを取り、アイデアを二つの欄に分けて整理します。
たとえば、顧客から、仕様追加の要求があり、仕様追加するかどうかの意思決定をする場合、議論すべきポイントを縦の項目に記載し、そのポイントに対して、仕様追加する場合としない場合に分けて、記入していきます。
そして、もう少し深く考えるために、長期的/短期的の軸からも考えてみましょう。
以下は、サンプルです。
─────────────┬──────┬───────────────
仕様追加しない │ │仕様追加する
─────────────┼──────┼───────────────
短期:満足しない │顧客の満足 │短期:当面、満足する
長期:仕様以外でのフォロー│ │長期:再度変心する可能性あり
が必要 │ │
─────────────┼──────┼───────────────
短期:予定通りに完了 │スケジュール│短期:現在の納期では不可能、顧客
│ │ は遅れても良いと言っている
長期:遅延の可能性もある │ │長期:担当者Aには次のプロジェク
│ │ トがある
─────────────┼──────┼───────────────
短期:問題なし機能品質は、│品質 │短期:機能品質は向上する
基準内 │ │
長期:問題なし │ │長期:潜在バグ増加の可能性あり
─────────────┼──────┼───────────────
短期:問題なし │コスト │短期:コストは計画よりオーバー
│ │ 増額は期待できない
長期:問題なし │ │長期:次プロジェクトに期待
─────────────┼──────┼───────────────
短期:開発中止の可能性 │リスク │短期:スケジュール、コストに関
│ │ するリスク増大
長期:顧客の隠れた不満が │ │長期:スコープクリープの可能性
爆発する可能性 │ │
─────────────┴──────┴───────────────
同様に、主観的/客観的、直観的/論理的などの軸にて考えることで、さらに、バランス感のあるTチャートを使った意思決定となります。
このような考え方のトレーニングとして、例えば、お昼ごはんを何にするかを決める際に、使ってみましょう。
1.縦軸を考える:健康、お財布の中身、お昼の時間、暑いから外に出たくないなど
2.横軸を決める:中華ランチ、そば(2者択一ではない場合は、横に展開する)
3.各ポイント(縦軸)について、長期的/短期的、主観的/客観的、直観的/論理的にも考える
ぜひ、試してみてください。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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