◆品質パフォーマンスグリッド
PMの道具箱シリーズでは、品質を語る上の『4つの視点』として、
・顧客満足
・プロセス改善
・客観的な管理
・自律的管理
を挙げ、プロジェクト品質についてと品質を実現するツールとして『プロジェクト品質の家』を取り上げてきました。
詳細はこちらをご覧ください。
PMの道具箱(44) プロジェクト品質の4つの柱
PMの道具箱(33) プロジェクト品質の家(1)
PMの道具箱(43) トレードオフマトリクス
そして、ふと、気がついたのですが、そもそも品質ってなんだろうということに触れてなかったことです。
そもそも、品質とは、「あるものの明示あるいは暗示されたニーズを満たす能力の集まり」と定義されています。
それでは、明示あるいは暗示されたニーズとは具体的に何でしょうか。
製品などについて顧客が期待する品質とは、
・パフォーマンス
・機能
・信頼性
・整合性
・耐久力
・保守性
・見栄え(五感に対すること)
・知覚品質(イメージ、ブランドなどの主観的評価)
であり、サービスについて顧客が期待する品質とは、
・時間(どれくらい待つのか)
・タイムリーさ
・完全さ(注文したものがすべてそろっているか)
・礼儀
・一貫性(すべての顧客に、いつも、同じやり方でサービスしているか)
・利便性
・正確さ
・応答時間(即座に反応するか)
と言われています。
これらの顧客の品質に対する期待を満足すればする程、顧客満足が向上するはずですが、ここで考えるべきことは、2軸にて、品質は評価されるということです。
2軸とは、以下の点からどれだけ、プロジェクトの成果物がニーズとマッチしているかです。
・マネジメント面の品質パフォーマンス
成果物も含めて、顧客の期待にマッチしているかどうか
・技術的な品質パフォーマンス
定義した設計仕様やシステム仕様にマッチしているかどうか
そして、この2軸で品質を評価するツールが品質パフォーマンスグリッドです。
−−−−等角フォントで見てください−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★品質パフォーマンスグリッド
────┬───────────┬──────┬────┐
マ 高│ │ │ワールド│
ネ ↑│ │ │ クラス│
ジ │ │ └────┤
メ │ システム仕様の │ │
ン │ 評価 │ 高品質 │
ト │ │ │
面 │ 2象限│1象限 │
の ├───────────┼───────────┤
品パ │ 3象限│4象限 │
質フ │ │ │
ォ │ │ │
| │ │ │
マ │ 失敗 │ 顧客期待の評価 │
ン↓│ │ │
ス低│ │ │
────┴───────────┴───────────┘
低← 技術的な品質パフォーマンス ←高
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1象限:品質が高いと顧客は評価する
2象限:顧客の期待にどれだけ合致していたとしても、顧客は品質として技術的な点から評価する
3象限:品質は低いと顧客は評価する
4象限:設計仕様やシステム仕様にどれだけ合致していたとしても、顧客はマネジメント面を品質として評価する
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したがって、品質パフォーマンスグリッドは、高品質を達成するためには、マネジメント面、技術的な面の2軸で品質を評価し、1象限にプロットできるようなマネジメント、技術的な取り組みが必要であることを確認するツールです。
各プロジェクトについて、評価してみてはいかがでしょうか。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。