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第21回 段階的詳細化におけるマネジメント計画 (2010.11.30)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆段階的詳細化におけるマネジメント計画

PMBOK(R)では、プロジェクトの定義として、

・有期性
・新規性
・段階的詳細化

を挙げています。

プロジェクトとは、決められた期間で、新しい経験したことのない成果物を作るために、スコープを段階的に詳細化していくマネジメントを実施することで、プロジェクトの目的を達成していくことだ。と定義しています。

それでは、スコープを段階的に詳細化していくとは、どのようなことなのでしょうか。

プロジェクトスタート時には、これから作成していく成果物や行うべき作業が、すべて分かっているわけでも、決まっているわけでもありません。

その中で、プロジェクトの計画では、WBSで成果物を定義し、その成果物を分解していくことによって、作業定義を行い、その作業に対して、見積りを行うことで、作業時間や担当者の人数を決め、スケジュール計画、要員計画、予算計画を作成します。

そして、この見積りを上位の成果物で行うのではなく、WBSの最下位(見積りしやすいレベル)で行うことによって、見積り精度を上げているわけです。

従って、まったく未知のプロジェクトの場合、すべてが最下位レベルの作業までWBSで分解できない場合がありますが、その場合は、無理に分解せず、プロジェクトのスタート時にわかる範囲までの分解でとどめておき、分かる時、分からなくても決めるべき時がきたら、WBSを分解していく、それが段階的詳細化です。

たとえば、引っ越しを例にしますと、
行うべきことは、
引越先の決定
引越業者の選定
引越日の決定
引越先での環境づくり(ガスの開栓など)
荷物の梱包
荷物の開梱

などです。当初、計画を立てるときには、何月何日に荷物を何個の段ボールに詰めて、などの作業は引越先や引越業者、引越日が決まらないと、明確に決めることはできません。

当初はおおよその予定を立てておいて、いろいろなことが決まってきたら、何月何日に何をしてと予定を決めて行くことと同様です。

プロジェクトの計画でも、プロジェクトスタート時に最低限決まっているべきことは、マイルストーン、マイルストーンまでの詳細な計画、段階的詳細化のタイミングとどの部分の計画を詳細化するのかです。

これらをマネジメント計画として決めておきます。

引っ越しであれば、マイルストーンは、引越先決定、業者選定、引越日、片付け完了
計画策定については、
・当初の計画:マイルストーンの決定
       引越先決定までのスケジュールと誰が担当するのかの計画
・引越先がほぼ決定したら:業者選定までのスケジュールと誰が担当するのかの計画
・業者がほぼ決定したら:片付け完了までのスケジュールと誰が担当するのかの計画

と段階的に計画を詳細化していくことを決めておきます。

これらのことが、段階的詳細化のマネジメント計画です。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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