◆誰がどうするマトリクス
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では誰に何をしてもらいたいのかを考えるゲームであり、少人数(10名まで)のグループで、30分程度で行うことが適してる「誰がどうするマトリクス」を取り上げます。
第106回では、「誰が何をいつマトリクス」にて、会議などで話し合いを行い、結論を出し、解決策に全員が合意し、最後に誰がその解決策を実行するのかなどを決める場合、「誰が」から先に考えると、全員が実行を約束するかたちで、会議を終われるゲームをご紹介しました。
何も行わない関係者は、「何を」の欄が空白になりますので、自分から「僕はこれをやるよ」と言ってもらうことができるから、「誰が」が左第1列になっています。
PMの道具箱 第106回 ゲームストーミング(9)〜誰が何をいつマトリクス
https://pmstyle.biz/column/tool/tool106.htm
本号の「誰がどうするマトリクス」は、閉幕(結論を決め合意を得る)のゲームではなく、どちらかと言えば、開幕のゲームです。これから行うプロジェクトなどのステークホルダー(関係者)が何をするのか、何を支援してもらうのかを考えるゲームです。マトリクスは次の手順で作成します。
1.目的、目標を書き出します。
2.左側にこれからプロジェクトなどを進めていく上において、関係する人を書き出します。
「誰が」がステークホルダーですので、プロジェクトなどを進めていくうえで欠かせない人を挙げていきます。人がまだ特定されていない場合は、会社や部門などのグループ名を記載します。
その際には、
・立上げには誰がかかわるのか
・意思決定は誰がするのか
・リソースを管理しているのは誰か
・障害となることが想定できるのは誰か
・誰に支援してもらう必要があるのか
などをグループ内で問いかけながら、列挙していきます。
下記のコラムなどもご参照ください。
PMの道具箱 第53回 ステークホルダー一覧表
PMstyle Kit No24. ステークホルダー特定とステークホルダーマップ
3.そして、次に、それぞれの「誰が」「どうする」を考えます。
その人がどんな行動をすれば、プロジェクトが成功するのか、その人たちがどんな支援をすべきなのかを考え、「どうする」の欄に記入します。
現在、しているかどうかではなく、これからどんな行動をすればよいのかを考えます。
ですので、このゲームに参加しているグループ内のメンバーも「誰が」に入っています。私たちはどんな行動をすればよいのかをグループで考えていきます。その中で、自分たちが自律するために何を考え、何をしていくのかを気づくことが重要なポイントです。
4.マトリクス完成後、どの「どうする」が重要か、誰が最優先なのかを考え、「どうする」をするためにどのようにプロジェクトを進めていくのか、どのような計画を作成するのかを考えていきます。
プロジェクトの目的:○○○
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┌────────┬────────────────────┐
│誰が(WHO) │どうする │
├────────┼────────────────────┤
│スポンサー:高橋│予算△△円を出す。削減しない │
│ │トラブル時には、相談に応じる │
├────────┼────────────────────┤
│○○役員:佐藤 │顧客との関係を良好に維持する │
│ │プロジェクトに反対の役員から守る │
├────────┼────────────────────┤
│顧客:A社鈴木 │仕様確定に積極的にかかわる │
│ │エンドユーザの意見をまとめる │
├────────┼────────────────────┤
│技術部門:田中 │新技術の導入に協力する │
│ │新しい技術、ツールがあれば紹介する │
├────────┼────────────────────┤
│・・・ │・・・ │
└────────┴────────────────────┘
プロジェクト立上げ時には、通常、ステークホルダー特定を行いますが、ブレーンストーミングを行いながら、「誰がどうするマトリクス」を完成していくことは、ステークホルダーマネジメントとして必要ですが、チームビルディングにも有効ですのでぜひ、実施してください。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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