◆プロジェクトファシリテーション(9)〜誰が何をいつマトリクス
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では、閉幕のためのゲームであり、次のステップや今後の取り組み事項を明確に実行するためのゲームである、「誰が何をいつマトリクス」を取り上げます。
会議などで話し合いを行い、結論を出し、解決策に全員が合意し、誰がその解決策を実行するのかなどを明確に決めないまま会議を終了し、それで、終わったつもりになっていることはありませんでしょうか。
例えば、何か問題や課題が発生したため、関係者が集まり、解決策検討会議を行い、解決策に全員が合意しましたが、その解決策の実行において、
「時間がない」
「私はもともと反対だったよ」
「その作業を行うための相手先を私はあまり知らないので、その作業はできない」
「私は責任者ではないので」
などと、解決策の実行から責任逃れをしようとする人がいる場合があります。また、担当者を決めても、実際にはうやむらとなり、実行したどうかがわからないまま、なんとなく、終わってしまう場合があります。その場合は、課題、問題はそのままうやむやとそのまま残ってしまっていることになります。
全員で合意した解決策を実行し、確実に課題、問題を解決する方法として、作業内容が誰に適しているか、と「何を、誰がする」と決めるのではなく、「誰がする」から決める方法が、「誰が何をいつマトリクス」です。
まず、左の列に参加者全員(プロジェクトであればチームメンバー)の名前を記入します。解決策を実行するための行動(作業)を別の場所に列記し、各参加者に実行を約束できる行動(作業)はどれですか、と尋ね、その行動を名前の横の欄に記入します。そして、それをいつまでにするのかを決めてもらいます。つまり、そのことで、その行動に対して実行を約束してもらうわけです。
このように、自発的、自主的な課題、問題解決への関与を促進するために、「誰が」から考えます。
そうしますと、最後には、全く何も関与しないのが誰なのかが、名前の横が空白であることから全員の前で、明確になます。すると、通常、その方は、何か手伝いましょうか?という気持ちが自然と芽生え、そのことでチームへの貢献、関与が高まり、チームビルディングが促進され、本当のチーム、リアルチームに、より、近づきます。
リアルチームやチームによる問題解決は下記コラムを参照してください。
はじめてのプロジェクトマネジメント 第27回 リアルチームを作る
PMの道具箱 第51回 チームによる問題解決
「何を」ではなく、「誰が」から考えてみませんか?
今後の取り組み事項(例)
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│誰が(WHO) │何を(WHAT)│いつ(WHEN)│
├────────┼────────┼────────┤
│鈴木 │○○調査報告書を│12月25日までに │
│ │△△に提出する │ │
├────────┼────────┼────────┤
│好川 │顧客に□□をヒア│次週金曜日 │
│ │リングする │ │
├────────┼────────┼────────┤
│橋詰 │○○調査に必要な│12月15日 │
│ │データを収集する│ │
├────────┼────────┼────────┤
│・・・ │・・・ │・・・ │
└────────┴────────┴────────┘
◆参考資料
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。