これまで、1回目では、米国空軍パイロットのジョン・ボイド氏が提唱した思考法、意思決定理論である、OODAサイクルの概要、Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(決定)、Act(行動)の4ステップの概論をご紹介しました。
2回目以降では、Observe(観察)、方向づけ(Orient)、Decide(決定)について、それぞれ、簡単な事例をご紹介しました。
第113回 OODAサイクル(1)〜PDCAとOODAの統合
第115回 OODAサイクル(2)〜観察(Observe)は具体的なモノを見る
第116回 OODAサイクル(3)〜方向づけ(Orient)は状況判断をする
第117回 OODAサイクル(4)〜Decide(決定)は仮説の決定である
本号では、次のステップであるAct(行動)をご紹介します。
●Act(行動)は仮説の検証である
OODAサイクルの第1ステップの観察(Observe)では、相手を観察し、どこに重心や致命的脆弱性があるか見抜き、第2ステップでは、過去の経験や知識を総動員して、何をすべか状況判断をし、方向づけ(Orient)を行います。コンセプトを実現するために、これから行う活動の方向性、方針、アプローチを決めます。
第3ステップの方向づけ(Orient)では、どんな活動をするのかを方向性に沿って決めますが、必ずしも、それが正しいとは限りません。やってみないと正しいかどうかは分かりませんので、妥当な解を決めて実行します。あくまでも仮説の決定です。
第116回では、子供が道路に飛び出した場合において、第3ステップ方向づけ(Orient)にて、概念的に決定しました。
例えば、以下のとおりでした。
・車が来ていないので、向こう側にわたらせる
・どんなに危ない行為なのかを理解させる
・なぜ、飛び出したのかを考えさせる
・これから、どうすべきかを決めさせる。
そして、第4ステップのAct(行動)では、方向づけ(Orient)で決まった概念的な行動を、具体的に決めて、実際に行動します。例えば、以下のとおりです。
・向こう側にわたらせるためには、車が来ないことをずっと見ておく
・また、途中で、こけないかどうかを見ておく
・こけた場合は、跳んで行って、抱えて向こう側にわたる
・なぜ、飛び出したのかを考えされるために、どんな質問をするのかを決めておく
・これから、どうすべきかを決めさせるために、どんな質問をするのかを決めておく
これらの行動の中で、仮説が正しいかどうかを検証し、もし、妥当性に欠く場合は、再度第3ステップのDecide(決定)に戻って、概念的な行動を修正します。また、方向性が妥当でなければ、第2ステップの方向づけ(Orient)に戻り、方向性を再検討します。この中で、不足している情報があれば、第1ステップ観察(Observe)に戻り情報を取得します。
このように、フィードバックしながら、OODAサイクルを回しています。
つまり、OODAサイクルの各ステップでは、
第1ステップ「観察(Observe)」・・・・具体的なモノを見ます
第2ステップ「方向づけ(Orient)」・・観察したことを抽象化し、概念的な背景情報を参考にし、方法性を決める
第3ステップ「Decide(決定)」・・・・方向性から概念的な行動を決める
第4ステップ「Act(行動)」・・・・・概念的な行動を具体的な行動に詳細化し、 行動する
を行っています。
OODAサイクルは、全体的に、具体的なものを見て、概念的に考えて、具体的に行動しています。
概念的に考えて、具体的に行動しましょう。
【参考文献】
OODAループ「超」入門 著:夕撃旅団 パンダ・パブリッシング
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。