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第154話:VUCA化するビジネスやプロジェクトをマネジメントする(2019/07/25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

PMスタイル考の148話、149話で、主観や直観の重要性を議論した。

【PMスタイル考】第148話:直感や主観こそがイノベーションを生み出すl

【PMスタイル考】第149話:プロジェクトマネジメントにおける主観や直観の活かし方

この記事の中ではあまり明示的に書いていないが、主観や直観の重要性の背景にあるのが、社会やビジネス、プロジェクトの「VUCA化」である。

そういう認識で、今年は「VUCA」の話を頻繁に議論しているが、時々、「VUCAって結局、なんですか」とか「時代がVUCAという認識は妥当なのですか」といった根本的な質問を頂くことがある。

そこで、一度、VUCAについて整理しておきたいと思う。


◆VUCAを一言でいえば

まず、言葉の定義を紹介しておく。VUCAは

「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)

の頭文字をとった言葉(概念)だ。一言でいえば、

「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」

のことである。

VUCAは、米国の陸軍で1990年代の冷戦終結後の国際情勢を意味する用語として使われ始めた言葉である。冷戦構造が長く続いていたが終結し、ソ連崩壊、ドイツの統一、中国の政策の変革などがあり、まさに、複雑性が増し、将来の予測が困難な情勢だったが、これをVUCAと称した。


◆ビジネスの世界のVUCA化

ビジネスの世界では「変化が激しい」とか、「将来の予測が困難」はいつの時代も言われることだと感じる人が多いと思うが、この10年間くらいの間にこの傾向が加速してきたというのが一般的な認識である。

たとえば、ビジネスモデルの変化を考えてみてほしい。その変化の速さは10年前とは比較にならない。20年前には、グーグルの検索連動型の広告や、フェースブックのSNSによる口コミ型広告のビジネスモデルはなかったが、この10年くらいであっという間に全世界で主流となるビジネスモデルになった。あるいは、アマゾンのロングテールというビジネスモデルもこの10年間くらいで瞬く間に商流の主流になってきた。

こういう急速な変化は20世紀にはなかったものである。例えば技術の変化が大きいコンピューターの世界でいえばWintel(ウィンテル)というビジネスモデルが長年続いてきたこととみれば明らかであろう。

現在のビジネスの世界の急速な変化はWebのインフラ化がもたらしているが、今後、変化する要因は変わっても変化のサイクルが遅くなることは考えにくい。


◆VUCAでビジネスやプロジェクトはどう変わるか

ということで、ビジネスの世界は

「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」

になってきたわけだが、これを反映するように2010年以降さまざまな著名人がVUCAという言葉を使うようになってきた。一般化のきっかけになったのは、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」という言葉が使われたことが契機だと言われている。

ビジネスやプロジェクトがVUCA化してくるとさまざまな変化が生じるのは容易に想像できますが、そこにおいて実際に起こりそうなこと(方向性)を考えてみると以下の3つに集約されると考えられる。

(1)最適化の意味がなくなる
(2)経験自体の価値がなくなる
(3)予測の価値がなくなる


◆求められるマネジメントの変化の方向性

この3つの変化によってマネジメントも変化が求められる。その方向性を簡単に考えてみよう。

まず昔から変化はあったが、その周期は比較的長いものだった。しかし、この10年間くらいの間に変化の周期が短くなってきたため、何が最適かと考えても、考えているうちに状況が変わり、その答えも変わってくるのが現状だ。つまり、最適化の意味はなくなり、むしろ、変化にどれだけ柔軟に対応できるかが重要になってくる。これが(1)に対応するマネジメントの方向性だ。

次に、そのように変化が速くなると、経験自体には価値がなくなる。以前は経験は積めば積むほどよいと考えられてきたが、それは同じビジネス環境が長らく続く中で、習熟していくためだ。環境が複雑になり、将来予測ができなくなるとこういう経験の活用はむしろ足かせになる可能性がある。

その中で、変化して生まれる新しい状況から学び続けることが求められる。そのためには、変化に振り回されることなく、物事の本質を見極めて学習していくことが求められる。これが(2)に対応するマネジメントの方向性になる。

三番目は変化が激しくなると、よりコストや時間をかけて変化を確実に予測しようとするが、VUCAの時代ではそのような予測をしているうちに状況が変わってしまう。それよりもその時間やお金を環境に適応していくことが望まれる。つまり、曖昧な状況でも実行し、学びながら進めていくことが望まれる。これが(3)に対応するマネジメントの方向性である。


◆OODAループに学ぶ

このようなVUCA化の中で、ビジネスパースンの態度として問題になるのは

・自分たちが変化しなくてはならないことに気がついていない
・変化に過剰に反応しすぎている

の2つである。このような問題を克服し、VUCAの時代に対応していくにはどうすればよいのだろうか。一つ参考になるのが、軍事の世界でVUCAへの対処のために使われているOODAループだ。

OODAループはビジョン実現に向けた成果が出ることに集中して行動するために、

・みる observe
・わかる orient
・きめる decide
・うごく act
・みなおす/みこす loop

の五つのプロセスを実行していくループだ。

VUCA以前の時代にはPDCAループが業務サイクルとして用いられているが、PDCAはどのようになるか正確に予測できないところでは機能しないため、VUCAの世界ではあまり有効ではない。これに対してVUCAの世界で有効なのがOODAループだと考えられている。

これを参考に考えてみると、VUCA世界に対応するためにすべきことは、

・ビジョンを持ち、実現コンセプトを創る
・広範囲に情報を集める
・疑問を持ち続ける
・アイデアがあればすぐに実行する
・実行結果から学び続ける

の5つだと考えられる。


◆コンセプチュアルな活動が必要

これらを実践して行く上では、コンセプチュアル思考に基づく活動が重要になる。つまり、
(1)コンセプトを創る
(2)大局的に情報を収集し、コンセプトを実行するアイデアを出す
(3)常にクリティカルシンキングする
(4)アイデアをさまざまな方法で具体化し、実行する
(5)経験からの学びを一般化し、新しい問題で活用する

といったコンセプチュアルな活動をすることが重要なのだ。


◆VUCAに触れている書籍の紹介

以下の3冊はVUCAに言及している本で印象に残ったものです。VUCA化に対する理解を深めたい方は、ぜひ、読んでみてください!

山口周「ニュータイプの時代」(ダイヤモンド社)

佐宗 邦威 「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN 」(ダイヤモンド社)

岩下智「面白い! 」のつくり方(CCCメディアハウス)

また、OODAについて詳しく知りたいかはには以下の本をお勧めします。

入江仁之「「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント」(フォレスト出版)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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