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第8回 プロジェクトオーナーとプロジェクトスポンサー(2009.02.24)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

前回、仕切り直しをして、立ち位置を明確にしたので、今回から、また続けていきたい。話としてはプロジェクトの要求を収集するというところまできている。このあと、話としてはプロジェクトリクエストをまとめて、プロジェクト憲章を発行するという流れになるのだが、この議論をする前に組織としてのプロジェクト推進体制を整理しておきたい。おおむね、PMBOK(R)の考え方に沿っているが異なる部分もあり、PMBOK(R)の考え方の説明をしている訳ではないことをお断りしておく。


◆プロジェクトオーナーとプロジェクトスポンサー

まず、プロジェクトにはプロジェクトに対して出資決定をする人がいる。プロジェクトオーナーである。そのプロジェクトの実施を決定している人である。例えば、社内で行う商品開発プロジェクトや設備投資プロジェクト、情報化プロジェクトであればプロジェクトオーナーはエグゼクティブであることが多い。プロジェクトオーナーはプロジェクトの殺生与奪を握っている。

プロジェクト体制にはプロジェクトスポンサーと呼ばれる役割もある。プロジェクトスポンサーはプロジェクトに対してリソースの提供をする人である。もっと単純にいえば、プロジェクトマネジャーの任命者がプロジェクトスポンサーである。

プロジェクトのもっとも重要なリソースは金と人である。ガバナンスの弱い組織ではわかりにくく、ここがこのように説明をすると、プロジェクトスポンサーがプロジェクトの殺生与奪を握っていると考える人もいるが、プロジェクトの殺生与奪はあくまでもプロジェクトオーナーが握っている。プロジェクトスポンサーは単にプロジェクトオーナーの命を受けて、プロジェクトの推進をしているだけに過ぎない。この関係は、株式会社の株主と経営者の関係に近い(もっとも株式会社であれば、プロジェクトオーナーもプロジェクトスポンサーも株主の元で活動しているわけだが)。

ここで注意しておく必要があるのは、プロジェクトスポンサーというのはロールに過ぎないということである。つまり、それは事業部長であったり、部長であったり、場合によっては課長であったりする。このため、プロジェクトスポンサーがプロジェクトに対してどのような公式権力を持つかは組織によって変わることである。


◆受託業務プロジェクトの場合

さて、このプロジェクトのスコープの一部は外部に委託されることが多い。

そして、その業務を受注した企業ではまた、その業務をプロジェクトとして遂行することが多い。例えば、SIプロジェクトやエンジニアリングプロジェクト、建設プロジェクトなどがその典型的な例である。

このようなプロジェクトでは、プロジェクトオーナーは受注側の企業にはいない。発注企業のプロジェクトスポンサーがプロジェクトオーナーになると考えるのが妥当であろう。

ここで重要なことは、企業は営利活動をしているので、受託した業務では当然利益を上げなくてはならない。一方で売り上げも必要である。このため、業務の中には儲からないものを混在させなくてはならない。これだけ統制が厳しいと言っている割には、実質的な赤字受注というのもなくなっていない業界もある。また、プロジェクトのトラブルによって結果的に赤字になるプロジェクトもある。

すると、いずれかのレベルで利益を再配分しないと経営はなりたたないことになる。受託型の事業ではこの役割を担うのがプロジェクトスポンサーである。つまり、事業責任を持ち、その責任の下に利益を再配分したプロジェクト予算を決定する役割ということになる。例えば、広告業界のようにプロジェクトマネジャーとクライアントの関係が非常に強い組織においても、このような役割は必ず必要になってくることに注意をしておく必要がある。プロジェクトが結果的に赤字になるケースは組織がそれをカバーしなくてはならないからだら。

以上のようにプロジェクトオーナー、プロジェクトスポンサーという役割があり、その元にプロジェクトマネジャーがいる。この構造を頭にいれておいてほしい。


◆要求のまとめ方とプロジェクトリクエスト

そこで、要求の話に戻る。要求というのは誰の要求かというと、プロジェクトオーナーの要求である。例えば、新商品の開発プロジェクトでは、プロジェクトオーナーはエグゼクティブであることが多いと述べたが、このケースで、エグゼクティブは何を要求するのだろうか?もちろん、ケースバイケースなのだが、代表的なケースは2つあるように思う。一つは、商品コンセプト(あるいは、ビジョン、イメージ)を要求する。この場合は、プロジェクトオーナーが商品コンセプトを示しているわけだから、それを実現する商品を開発することはもちろんだが、それを商品として成功させることも要求していることになる。もう一つのケースは、「売り上げを作ること」を要求するケースである。もちろん、組織でやる仕事なのでフリーハンドということにはならないが、まあ、「良きにはからえ」の世界である。

そこで、オーナーのプロジェクト要求をプロジェクトリクエストというドキュメントに落としていく際には、前者であればオーナー側が主導権を握る。後者であればプロジェクト側が主導権を握る。このため、後者の場合には、プロジェクトの進め方そのものに近いようなリスクエストができることになる。

プロジェクトリクエストそのものの内容は、こちらに解説記事があるので、参考にしていただきたい。

プロジェクトマネジャーの道具箱(9)プロジェクトリクエスト

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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