No61. リスクの監視コントロール《一般》(2018.12.28)
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【目的】特定したリスクを追跡し、必要な対応策を実行する
【用途】発生した問題に対して迅速で有効な対応を行う
【効用】想定外の事象が減り、問題に対して、迅速に対応できる
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◆リスクの監視コントロール
これまで、プロジェクトリスク知識エリアの計画プロセス群の
「リスクマネジメント計画」プロセス
「リスクの特定」プロセス
「定性的リスク分析」プロセス
「リスク対応計画」プロセス
のプロセスについて、取り上げました。
本号では、監視コントロールプロセス群の「リスクの監視コントロール」プロセスを取り上げます。
本プロセスは、リスクマネジメント計画書に従って、文書化された既知リスクと予期できなかった想定外のリスクの発生を監視し、対応します。
それぞれのリスクのリスクオーナーは、リスクの発生を監視し、必要であれば、コンティンジェンシー計画を発動し、リスクに対応します。
◆リスク状況の把握と再評価
特定された既知のリスクの状況とプロジェクト全体のリスクの状況を進捗報告と差異分析によって、把握します。
傾向分析(進捗の推移を分析)やEVMなどによって、プロジェクトメトリックスを評価し、潜在的なリスクの発生を予測します。
そして、定期的なリスク分析によりリスクを再評価(発生確率と影響度の査定)し、重大と評価したリスクに対して、対応策を作成し、リスク登録簿を更新します。
リスクが発生した際には、事前対策をとったのか、事後対策であるコンティンジェンシー計画を立案したのかに関わらず、リスクに対して、直ちに対応し、できるだけ現実、状況に則した対策をコンティンジェンシー計画に従って、実行します。想定外のリスクの発生や、受容の戦略をとったリスクに対しては、プロジェクトチームメンバーや関連するステークホルダーを巻き込んで、対応を考えます。課題管理にて、扱う場合もあります。
スケジュールコントロール、コストコントロールにて、速やかにリカバリー(回復)を企てますが、その際の対応は、プロジェクトインフラストラクチャーの方針に従って、首尾一貫した対応を行います。
プロジェクトインフラストラクチャーについては、下記のコラムをご覧ください。
PMstyle Kit No6. プロジェクトインフラストラクチャー(グランドデザイン)
◆計画変更
また、計画変更が必要な場合は、統合変更管理プロセスにて、行います。その際には、プロジェクトスポンサーや関連するステークホルダーを巻き込んで、変更管理を行い、新しいベースライン計画を作成します。そして、この後の進捗管理は新しいベースライン計画に従って行います。そのためにも、チームメンバーや関連するステークホルダーへの変更した計画の周知は、必ず、行います。
PMstyle Kit No37. プロジェクトスポンサーとの計画変更交渉
そして、本プロセスでは、実施した対応策が有効かどうかの検証を行い、新規のリスクやその状況、有効な対応策などをリスクチェックリストなどのテンプレートに追加します。終結プロセスでは、リスクの計画やその結果についての振返りを行い、教訓(知識・ナレッジ)として残します。
◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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4.リスクの分類とパターン化
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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