No57. リスクマネジメントの計画《一般》(2018.07.31)
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【目的】プロジェクト・リスクをどのように扱うのかを決定する
【用途】リスク・マネジメント計画書を作成する
【効用】プロジェクト期間を通じて、一貫したリスク・マネジメントを行える
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◆リスク知識エリア
PMBOK(R)第6版のリスク知識エリアには、第5販から1プロセスが追加され次の7つのプロセスがあります。
★計画プロセス群
・リスク・マネジメントの計画:プロジェクトのリスク・マネジメント活動を実行する方法を定義するプロセス
・リスクの特定:個別リスクと全体リスクの要因を特定し、それぞれの特性を文書化するプロセス
・リスクの定性的分析:リスクの発生確率と影響度、および、その他の特定を査定し、その後の分析や処置のためにプロジェクトの個別リスクの優先順位付けを行うプロセス
・リスクの定量的分析:特定したプロジェクトの個別リスクおよびその他の不確実性要因が全体的なプロジェクト目標に与える複合的な影響を数量的に分析するプロセス
・リスク対応の計画:プロジェクトの全体リスクと個別リスクに対処するために、選択肢の策定、戦力の選択、および対応処置へ合意するプロセス
★実行プロセス群
・リスク対応策の実行:合意済みリスク対応計画を実行するプロセス
★監視・コントロールプロセス群
・リスクの監視:合意済みリスク対応計画の実行、特定したリスクの追跡、新たなリスクの特定と分析し、そして、リスク・プロセスの有効性の評価をプロジェクトを 通して監視するプロセス
◆リスク・マネジメントの計画
本号では、「リスク・マネジメントの計画」プロセスについて、取り上げます。「リスク・マネジメントの計画」プロセスでは、次の2つのことを行います。
・ステークホルダーのリスク許容度の評価
・リスクマネジメントプロセスをどのように行うかの決定
「リスク・マネジメントの計画」プロセスは、計画プロセス群の一つであり、立上げプロセス群の「ステークホルダー特定」プロセスはすでに実施されています。
たとえ、PMBOK(R)をテーラリングされている場合であっても、「ステークホルダー特定」プロセスは、ぜひ、実行していただきたいプロセスです。
◆リスク許容度
立上げプロセス群の「ステークホルダー特定」プロセスでは、ステークホルダーを分析し、ステークホルダー登録簿を作成します。登録簿には、ステークホルダーの識別情報、評価情報、ステークホルダー分類などが記載され、ステークホルダーのリスク許容度も記載します。
計画プロセス群では、各知識エリアの計画書を作成しますが、ステークホルダーのリスク許容度が低ければ、リスクに厳しい計画書を作成する必要がありますし、リスク許容度が高ければ、チャレンジ性の高い計画書を作成することができます。
そのために、ステークホルダーのリスク許容度は、リスクマネジメントに大きく影響します。ですので、ステークホルダーとの会議や組織のリスクに対する方針、プロジェクト憲章内の制約条件、前提条件などから、ステークホルダーのリスク許容度を再評価します。
次に、ステークホルダーのリスク許容度を考慮した、リスクマネジメントに対する方針を決定します。もちろん、組織にリスクマネジメントに対するルールがあれば、それを逸脱することができませんが、プロジェクトなりの方針を決定します。
たとえば、リスクを排除するのかリスクテイクするのか、どの様なリスク区分(RBS)を使用するのか、影響度と発生確率の評価方法について、後続のプロセスをどのように行うのか、どのツールを使用するのか、「リスク監視」プロセスにおいて、リスク監査を行うかどうか、どの様式にて報告するのか、などを決め、リスク・マネジメント計画書として記述します。
そして、作成されたリスク・マネジメント計画書は、後続のすべてのプロセスのインプットとして使用されます。
◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆プロジェクト計画書の作り方・書き方・活かし方 (7PDU's)
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※Zoomによるオンライン開催です
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※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
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主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画 プロジェクトマネジメント基礎(1) プロジェクトマネジメント基礎(2)
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【カリキュラム】
1.プロジェクト計画書作成プロセス
2.プロジェクト計画をデザインする
3.プロジェクト計画の骨組みを決める
4.プロジェクト活動計画書の書き方
5.予算計画書の書き方
6.リスク計画書の書き方
7.ステークホルダー計画書の書き方
8.コミュニケーション計画書の書き方
9.プロジェクト計画全体の整合と各計画書の調整
10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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