◆プロジェクトの計画、その前に
第1回の「プロジェクトとは」では、プロジェクトの特徴について述べました。
第2回では、プロジェクトの目的について述べました。
第3回では、プロジェクトマネジメントは何のためにするのか、について述べました。
今回は、いよいよプロジェクトマネジメントの中心である計画についてです。
プロジェクトマネジメントには、次のような大きな5つのステップがあります。
立上げ :プロジェクトを定義する
計画 :プロジェクトの計画を作成する
実行 :作成した計画を実行する
コントロール:プロジェクトの目的を達成するために、計画通り実行できるようにしたり、計画を変更する
終結 :プロジェクトを終了し、振り返りを行う
立上げで、プロジェクトスポンサー(プロジェクトをやると決めた人)がプロジェクトマネジャーを任命し、権限(予算やスケジュールやメンバーなど)を与えて、プロジェクトの遂行を任せます。
※このあたりは、会社によって仕組みがずいぶん異なりますので、一般的なお話としてとらえてください。
任せられたプロジェクトマネジャーは、定義されたプロジェクトの目的を達成するために、プロジェクトを実行していくわけですが、一人プロジェクトならともかく、プロジェクトはやはり複数人数で実行していきますので、
・誰にどんな作業をしてもらうのか
・いつまでに何を作らないといけないのか
・いったいどんなものを作るのか
・誰に何を確認してもらうのか
など、多くのことを計画して実行していかないと、全体をみていくことはできません。
そこで、計画作成が必要になってきますが、いきなり、マスタースケジュール(大工程:何をいつまでに作るのか)を引くのではなく、マネジメントの方針を考える必要があります。
もちろん、マスタースケジュールは重要ですし、受注プロジェクトの場合、マスタースケジュールはすでに決まっていることの方が多いですね。
マスタースケジュールを否定する、ということではなく、計画作成には、まず考えるべきことがあるので、それを先にしましょう、ということです。。
それは、マネジメントの方針とともに、ステークホルダー(プロジェクトの利害関係者)が誰か、を先に考えて起きましょう。
定常業務では、もちろん、作業に誰が関係して、誰に情報をもらって、誰の承認を得て、と、常にステークホルダーを考えて業務を進めていることが多いはずです。
ましてや、プロジェクトと言えば、はじめて行う作業で、はじめて会う人たちと、わからないことを克服して、○月△日までにこれを作るという業務です。
どんな人たちがいて、プロジェクトに対して、どのような考え方か、を考えるステークホルダー分析をしてみないと、マネジメントの方針がマッチしてこないという場合もあるわけです。
たとえば、新しいシステムを開発することによって、作業内容が変わってしまう部署の人や、今回のプロジェクトで大幅にプロジェクトメンバーとして参加しているため、通常業務が忙しくなってしまう人、新しいプラントを作るために資材搬入のために交通量が多くなり、困るかもしれない近隣住民など、プロジェクトに少しでも関係のある多くの人がステークホルダーと呼ばれます。
この方たちがプロジェクトに協力してくれないと成功もおぼつかないのであれば、なおさらのこと、ステークホルダー分析が重要になってきます。
ステークホルダーについては下記のコラムもぜひ、ご参照ください。
・敵すら味方にひきいれる
・影響力の法則
・ステークホルダー影響グリッド
・ステークホルダを動かすWin−Winの関係
それでは、次回は、どんな計画を作成する必要があるかを取り上げたいと思います。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。