◆プロジェクトマネジメントとは
前々回の「プロジェクトとは」では、プロジェクトの特徴について述べました。
前回では、プロジェクトの目的について述べました。
今回は、プロジェクトマネジメントについてですが、プロジェクトマネジメントでは、そもそもプロジェクトは何のためにするのか、ってところから始まります。
つまり、このプロジェクトを完遂することで、どんなメリットがあるのか、どれくらい利益が上がるのか、次にどのステップに進めるのかなど、こういう目的を達成するためにプロジェクトを行うということを明確にするところからがスタートです。
会社には事業戦略があり、その中で、たとえば、こういう製品をこのラインナップで開発・販売し、○万台の販売、○円の利益を見込みます。そして、このプロジェクトでは、ラインナップのこの部分を開発する、といった流れがあって、プロジェクトを実行しています。
このプロジェクトでは、大きな流れの中(プロジェクトの背景)の、この部分(スコープ)をこの予算、この納期(制約条件)で、プロジェクトマネジャー○○さんが、これだけの権限を持って、遂行することを、プロジェクトスポンサーが承認する文書が、『プロジェクト憲章』です。
プロジェクトにはどんなリスクがあるか、技術的な問題はないかなどを検討することで、この予算、この納期でこのスコープが完成できることを検証して、プロジェクト憲章を作成して承認されるまでが、立上げプロセスと呼ばれているプロジェクトマネジメントの最初のプロセスです。
そして、作成されたプロジェクト憲章をインプットとして、任命されたプロジェクトマネジャーが、目的を達成するため、スコープを完成させるためには、何を重視してプロジェクトを実行すべきかを決め(たとえば、QCDSの中でもっとも重要な要素は何か)、その方針を元に、計画を作成します。
プロジェクトの計画が作成されると、次は、計画にしたがってプロジェクトを実行・コントロールしていきます。実行におけるプロジェクトマネジメントとは、計画どおり実行できるように、プロジェクトマネジャーが環境を整えてあげることです。
つまり、担当者が担当部分の作業に着手できるように要員配置をしたり、チーム内のコミュニケーションがうまくいくように、雰囲気を作るといったプロセスです。
コントロールとは、計画どおり実行できているかをチェックし、差異が大きければ、何か問題が発生していないか、どのように解決すべきか、計画を変更する必要があるかなど、最初に決めた方針に従って、マネジメントを行うプロセスです。
そして、すべてのスコープが完成し、顧客に受け入れされれば、プロジェクトは終了しますが、最後にプロジェクトの記録を取りまとめ、教訓を残す作業が残っています。
これが、終結プロセスです。
プロジェクトがいつ始まりいつ終わったのかわからないのではなく、立上げプロセスでプロジェクトの開始を、終結プロセスでプロジェクトの終了を宣言することが、プロジェクトの特徴のひとつである有期性をマネジメントするためのポイントの一つになっています。
次回は、プロジェクトの計画を作成する部分について、もう少し細かい部分について述べていきます。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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