◆リアルチームを作る
第23回では、コミュニケーションマネジメント計画書の作成手順として、下記の手順について、述べました。
・コミュニケーションニーズの把握
・ステークホルダー分析
・プロジェクト組織分析
・プロダクトプロセス分析
・コミュニケーション計画作成。
はじめてのプロジェクトマネジメント(23)
〜コミュニケーションマネジメント計画書(2)
また、コミュニケーションで、プロジェクトマネジメントで行いたいこと(コミュニケーションニーズ)として、以下の項目について、述べました。
・上位組織へのQCDSの予実のタイムリーかつ正確な報告
・顧客満足度向上
●メンバーのプロジェクト貢献動機向上
●チームパフォーマンス向上
・納期意識を高める
・品質意識を高める
・リスクマインドの向上
・プロジェクトに対する信頼構築
・調達物品質の向上
・ゴールの共有
・スムーズな変更管理の実現
・プロジェクトの安全意識の向上
本号では、メンバーのプロジェクト貢献動機向上、チームパフォーマンスの向上をコミュニケーションで達成するために、考慮すべき点として、『リアルチーム』を取り上げます。
ところで、『リアルチーム』とは、何かと言いますと、カッテェンバーグが90年台前半に提唱し、本当の意味でのチームという意味です。
カッテェンバーグは、ワーキンググループとの以下の比較により、チームのイメージを明確にしています。
業績としては、ワーキンググループでは、個人の成果の総和が業績であり、メンバー各自の目標が重要視されることに対して、リアルチームでは、個人の成果はチームの成果における個人の貢献であり、そこでは、個人責任と連帯責任が重要視されています。
そして、業績を上げるためのチームの活動として、ワーキンググループでは、グループディスカッション、会議、情報やベストプラクティスの共有などが中心であり、リアルチームでは、コラボレーションを生むための活動が中心になります。
そのため、チームマネジメントとして、ワーキンググループでは、協調性がマネジメントの最大の関心事であり、リアルチームでは、協調性より多様性を活かすことを考えています。
例えば、リアルチームな野球チームでは、まず、チームの優勝を考え、そして、チームメンバーである選手は優勝に対して、どのような貢献ができるかを考えますので、優勝のためには、選手同士が対立することもありますが、対立からコラボレーションを生むための活動を考え、行います。
また、ワーキンググループとは、専門性に基づく分業(ラインで対応できる)であり、単なる経験の持ち寄りであり、そこから、コラボレーションは生まれるはずがありません。
対して、リアルチームでは、目標の達成のために互いの経験に基づく知見をぶつけ合い、他人の領域に入り込み、他人の経験から学習する姿勢が求めら、そのための活動を行い、そして、コラボレーションを生むことを目指します。
もちろん、プロジェクトとは、独自性がもとめられ、今までの方法、今までの業務形態(ライン)では作れないモノを作る活動ですので、1つの視点だけではなく、多様性が求められる活動です。そのため、プロジェクトチームは、リアルチームであることが必須となってきます。
リアルチームとは、
共通の目的、達成目標、アプローチに合意し、その達成を誓い、お互いに責任を分担する補完的なスキルを持つ少人数の人の集まり
であり、本質はメンバー間の合意にあり、合意のためには、心底、納得できる目的が必要です。
このようなリアルチームをプロジェクト開始後、なるべく早く、作っていくことが、メンバーのパフォーマンス、チームのパフォーマンス、プロジェクトのパフォーマンスを向上させるために、必要なマネジメントです。
従って、リアルチームでは、心底、納得できる目的を作るための活動をなるべく、早く行うことが、チームマネジメントの第1歩です。
チームがどのように形成されるかについては以下のコラムをご参照ください。
PMの道具箱
第7回 チーム形成の4段階モデル
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「チームマネジメント」
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。