◆ステークホルダーとの関係性を構築する
第23回では、コミュニケーションマネジメント計画書の作成手順として、下記の手順を述べました。
・コミュニケーションニーズの把握
・ステークホルダー分析
・プロジェクト組織分析
・プロダクトプロセス分析
・コミュニケーション計画作成。
はじめてのプロジェクトマネジメント(23)
〜コミュニケーションマネジメント計画書(2)
また、コミュニケーションニーズとして、プロジェクトマネジメントで行いたいこととして、以下の項目を述べました。
・上位組織へのQCDSの予実のタイムリーかつ正確な報告
・顧客満足度向上
・メンバーのプロジェクト貢献動機向上
・チームパフォーマンス向上
・納期意識を高める
・品質意識を高める
・リスクマインドの向上
●プロジェクトに対する信頼構築
・調達物品質の向上
・ゴールの共有
・スムーズな変更管理の実現
・プロジェクトの安全意識の向上
本号では、プロジェクトに対する信頼構築をコミュニケーションで達成するために、ステークホルダーとの関係性を構築することを考えてみます。
ステークホルダーとは、プロジェクトの利害関係者であり、プロジェクトを実施することによって、利益を受けたり、損害を被ったりなどの影響を受ける人、またはグループです。
ステークホルダーマネジメントの詳細については、こちらをご覧ください。
ここでは、ステークホルダーへのマネジメントとして、大まかに、
1.ステークホルダの明確化と関係性の定義
2.関係性構築の計画
3.関係性の構築と維持
の流れで考えてみましょう。
まず、「1.ステークホルダの明確化と関係性の定義」では、プロジェクトのステークホルダーを洗い出し、彼らとどのような利害関係が発生する可能性があるか、を明確化し、プロジェクトの目的を鑑み、どのような関係性が望ましいか、を定義していきます。
もちろん、ステークホルダーとは信頼関係を構築し、プロジェクトへの協力をしてもらうことが重要ですが、プロジェクトがステークホルダーに望むこと、ステークホルダーがプロジェクトに望むこと、そして、そのステークホルダーはプロジェクトと利害が一致するのかどうかを定義(推測)します。
次に、「2.関係性構築の計画」では、その関係性を実際に構築するための計画を策定します。その中では、信頼関係を構築するために、バランスシートを使った分析を行う方法があります。
ステークホルダーに変わってもらうことのよって関係性を構築するのではなく、自分が変わることによる信頼関係の構築です。
バランスシートでは、ひとつの視点に対して、プラスとマイナスを書き出していきます。視点の項目は相手を見て設定します。
例えば、約束という視点において、自分が相手との約束を常に守っていれば、「+」、相手との約束を破ることがあれば、「−」を記入します。
期待という視点において、常に相手の期待を上回っているようであれば、「+」、相手の期待を裏切ることがあれば、「−」を記入します。
他、相手の都合で決定しているかどうか、まず自分の責任を問いているかどうか、などの視点を設定し、プラスマイナスを記入し、マイナスが多いようであれば、プラスを1つでも多くするための計画を立てます。
詳細は、以下のコラムを参照してください。
第32回 関係性構築のコミュニケーション
また、ステークホルダーがプロジェクトへ望むことを実現するために、プロジェクト計画への反映を行います。
3.「関係性の構築と維持」では、計画に従って、実際に関係を構築し、維持していきます。
また、ステークホルダーがプロジェクトに望むことを実現していくことで、プロジェクトがステークホルダーに望むことに対する行動を起こしてもらいます。
ステークホルダー、特に顧客には、行動を変えてもらうことはできませんし、ましてや、命令することもできません。
自分が変わることによって、相手との関係に、信頼性を構築していきましょう。
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2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
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・本質を見極める
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・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
・(演習6)カレンシーを再考する
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。