◆ゲームストーミング(3)〜プラス・デルタ
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」
(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では、閉幕の手法である「プラス・デルタ」を取り上げます。
「プラス・デルタ」は、教訓を集めるツールです。
通常、プロジェクトでは、過去から学ぶをモットーに、立上げ時や計画時に、類似プロジェクトの教訓を参考にします。
PMBOK(R)のプロジェクトマネジメントは、立上げプロセス群、計画プロセス群、実行プロセス群、監視コントロールプロセス群、終結プロセス群に大きく分かれ、プロジェクトを立ち上げた後は、PDCAループを回し、そして、終結プロセス群への進みます。大きなPDCAループにおいては、教訓は、プロジェクト終結時に振返り(反省会)を行い集めます。
ですが、そのPDCAループの中においても、振返りは必要です。例えば、計画プロセス群において、計画作成が適切だったかどうかを振返り、改善点が見つかれば、改善を行うための振返りです。監視コントロールプロセス群であれば、進捗管理を行いますが、その中で、問題解決だけではなく、特に問題はないけれど、パフォーマンスをより上げるために、来週から改善したいことの検討などです。
その場合、大がかりに会議を開くのではなく、進捗会議の中で、うまくいったことや改善したいことなどを話し合うツールとして、「プラス・デルタ」は適しています。
ホワイトボードまたは、フリップチャートに、司会進行役が「T」の字を大きく書き、左上には、+(うまくいったこと)、右上には、三角形(改善すべきこと)と見出しを書きます。参加メンバーは、これからも続けたいこと、これから直したいことについて、フリートークを行い、司会進行役が発言を左、もしくは右にどんどん記入していきます。
例
───────────────┬─────────────────
+(うまくいったこと) │ △(改善すべきこと)
───────────────┼─────────────────
・スケジュールが守れた │・○○の作業が遅れ気味だった
・メンバーが積極的に動いた │・方向性がはっきりせず、判断に迷った
・会議の開始時間が守れた │・指示内容に勘違いがあった
・・・ │・・・
否定するのではなく(×ではなく△)、チームでの話し合いの中で、あるメンバーだけが気づいていたことをチームで共有することや、改善したい点についてのアイデアだしなど、チーム育成にも向いています。
Keep、Problem、Tryについて話し合うKPT(けぷと)と似ていますが、「プラス・デルタ」は話し合いの内容を2つに分けて表示するだけですので、より簡単に、より短時間で使えるツールです。
話し合いで出てきたことを、「プラス・デルタ」にて、描いてみませんか?
新たな意見や気づきが出てくるのでないでしょうか。
下記コラムでも振返りのツールについて、取り上げていますので、ご参照ください。
PMの道具箱
第72回 振返りのフレームワーク:KPT(けぷと)
第78回 レッスンズラーンド(教訓)
◆参考資料
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
「プロジェクト品質マネジメント」(著:ティモシー・J・クロッペンボルグ、ジョーゼフ・A・ぺトリック)
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講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
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3.コンセプトを実現する目的と目標の決定
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5.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
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7.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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