◆ゲームストーミング(4)〜事前分析(プロジェクトの墓場についての話し合い)
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では、開幕の手法であり、プロジェクトが大失敗する経緯を予見するゲーム「事前分析」を取り上げます。
プロジェクトが残念な結果で終わってしまったり、状況が悪化した場合に、プロジェクトメンバーが集まり、事後分析を行うことは、よくありますね。
振返りの会でも、あ〜すればよかった、こうすればよかった、など。
例えば、
・思い込みによる勘違いから手直し・手戻りが発生した
・言ったつもりが相手に伝わっていないためずっと手待ちの状態だった
・他県では、承認されている機器だから、大丈夫と思っていたら、承認されなかった
・スキル不足により、まったく、工数不足だった
・そもそも、プロジェクトの方針自体が的外れだった
などなど。
そして、これらの過程のどこかで、最悪の事態の発生を予見できていれば、残念な結果にはならないはずです。
そこで、事前分析では、プロジェクト計画の共有ができた段階で、主なプロジェクトメンバーを集め、
・本プロジェクトでは、どのような問題が起こるでしょうか?
・プロジェクトが大失敗に終わるとすれば、どのような経緯をたどるのでしょうか?
などの問いに対して、答えていくゲームです。
これまでの経験を振り返り、顕在化しなかったけれど、過去のプロジェクトではこのような問題があったとか、このような問題が発生したが、その懸念は事前にキャッチしていたなど、これまでは、表(口)に出せなかったことを発言できるチャンスの場とします。
過去の個人の暗黙知の教訓を、プロジェクトチーム内の暗黙知の教訓とし、ホワイトボードなどに書き出すことによって、形式知とするゲームです。
一般的なリスクマネジメントも重要ですが、プロジェクトの開始直後に、ゲーム感覚にて、○○プロジェクトの墓場はどのように形成されるのか、について話し合うことは、リスクマインドの向上に効果的であり、教訓を共有する場、また、チームビルディングとしても有効です。
◆参考資料
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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