◆レッスンズラーンド(教訓)
PMBOK(R)では、プロジェクトマネジメントプロセスを5つのプロセス群(立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結)と10の知識エリア(統合、スコープ、タイム、コスト、品質、人的資源、リスク、コミュニケーション、調達、ステークホルダー)に分類し、整理しています。
統合知識エリアの終結プロセスには、「プロジェクトやフェーズの終結」というマネジメントプロセスがあり、そこでは、「プロジェクトの成功または失敗をチェックし、教訓を集め、組織が将来活用できるようにプロジェクトの情報を保管する」との記載があります。
つまり、プロジェクトの最後では、プロジェクトの計画や進捗結果などのプロジェクト情報を残すとともに、教訓を残すという活動を行います。
また、PMBOK(R)では、「教訓とは、今後のパフォーマンス改善のために、プロジェクト事象にどのように取り組んだか、あるいは将来どのように取り組むべきかについて、プロジェクトから得られた知識の事」とあります。つまり、教訓は、現在実施しているプロジェクトや、今後行うプロジェクトにおいて、現在よりも将来、よりパフォーマンスを向上させるための知識情報のことです。
そうしますと、通常、人間は、同じ失敗を繰り返しませんので(繰り返す場合もありますが)、事象そのままの記録を残しても、あまり意味がありません。
また、大トラブルがあり、失敗したので、次はこうしたらいいと思う、という記録もあまり意味がありません。次はこうしたらいいのかが本当にわかりませんし、やってみて初めてその結果がわかるのならば、やりたくなくなります。
それでは、教訓(レッスンズラーンド)とはどのようなことを残せばよいのでしょうか?
できれば、プロジェクトで問題が発生し、それをこのように解決したので、良かったということを残すのがベストです。また、発生した問題の根本的な原因、本質的な問題を洗い出し、それに対する解決法を残すのがベストです。
そのためには、現実的に起こったことを挙げ、その本質的な問題は何かを分析するとという、2つのステップが必要です。
例えば、
・問題が発生した局面
・問題の状況
・検討した解決策と採用した解決策
・採用した解決策の結果
・関連するリスクを特定したかどうか
・関連するコミュニケーションについて計画したかどうか
を発生した事象について、知識エリア別に列挙します。
そして、発生した問題の本質は何かを話合い、その問題の本質(の解決策)について、分析した結果を集め、教訓として残すことによって、それらの問題が発生しないために何をするのかを教訓から得ることができるようになるからです。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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