◆コミュニケーション監査
コミュニケーション監査とは「コミュニケーション」を探求、調査、監視、評価するプロセスであり、プロジェクトステークホルダとの間のコミュニケーションが目的や実施計画どおりに行われていることを検査する手法です。
コミュニケーション監査は、プロジェクト監査の一種であり、プロジェクト監査が、大型プロジェクトのみ、アットランダムに抽出してなど、問題ありなしに関わらず実施されることが多いことに対して、コミュニケーション監査は、ほとんどの場合、コミュニケーションに問題がある(ありそうな)プロジェクトに対して実施します。
プロジェクト監査には、
・プロジェクト状況を客観的に把握できる
・プロジェクトを崩壊させかねない、プロジェクトマネジメントの問題を指摘する
・プロジェクト状況を是正する方向に動くというフィードバックの効果がある
・プロジェクトの状況に対してステークホルダ間でのコミュニケーションが図られる
・監査することで、プロジェクトマネジメントのトレーニングになる
の5つのメリットがありますが、コミュニケーション監査も同様にコミュニケーションに対して、上記の5つのメリットがあります。
その監査の手法には、観察、インタビュー、質問票(いわゆるアンケート)、ネットワーク分析などがありますが、コミュニケーション監査の場合、質問票が適しています。
質問票には、
・必要な情報の種類と送られる情報の種類
・使われたチャネルの妥当性
・コミュニケーションの方向性
・部門間のコミュニケーション
などを評価するための質問を盛り込んでいきます。
例えば、
「○○の情報は、このプロジェクトでは重要ですか?」
「その情報は、適切に得られていますか?」
などをPM、メンバー双方に質問し、
・必要な情報が得られているかどうか
・PMとメンバー間にコミュニケーションに関する意識の相違はないかどうか
などを評価していき、どこにコミュニケーションの問題領域があるかを判断するツールです。
コミュニケーション監査というと大がかりに感じますが、質問票という手法を取らずに打合せや雑談に交えて、コミュニケーションについての意識の相違がないかどうか、適切なタイミングで適切な情報が得られているかどうか、情報の内容の重要性について意識の相違はないかなどを質問することでギャップをあぶり出すというのも、ひとつの方法ではないでしょうか。
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2.プロジェクトマネジメント品質向上への取り組み事例
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。