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第45回 要求事項トレーサビリティ・マトリックス(2013/07/19)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆要求事項トレーサビリティ・マトリックス

PMBOK(R)第4版から新しくスコープ知識エリアのプロセスとして、「要求事項収集」が追加されています。
第3版では、「スコープ計画」として、スコープのマネジメント計画を立てるプロセスがありましたが、その部分は統合知識エリアの「プロジェクトマネジメント計画書作成」にいわゆる統合されてしまいました。

各知識エリアのマネジメント計画(その知識エリアをマネジメントする方針やどのプロセスを実施するかなど)は、ほとんど、同様に「プロジェクトマネジメント計画書作成」にて行うようになっています。
ただ、リスクマネジメント計画は相変わらず、第5版でも「リスクマネジメント計画」として残っています。発生確率や影響度の基準など決めておくべきことが多いためと考えられます。

それでは、「要求事項収集」とは、何をするプロセスなのかと言いますと、読んで字のごとく、プロジェクト目標を達成するためにステークホルダーの期待やニーズ(つまり要求)を収集し、文書化するプロセスです。
この収集した要求は、後続プロセスである「スコープ定義」にて、プロジェクト・スコープ記述書、WBSへとブレークダウンされていきます。

そして文書化された要求事項文書は、ステークホルダーの期待のマネジメントやコミュニケーション計画における重要なインプットとなってきます。
また、収集される要求には、プロジェクトに対する要求事項と成果物に対する要求事項があり、前者には、ビジネス要求事項、プロジェクトマネジメント要求事項、納入要求事項などがあり、後者には、技術的要求事項、セキュリティ要求事項、性能要求事項などがあります。

ここ(計画プロセス)で、ビジネスに対する要求事項を収集することになっていますが、そもそも、筆者は、これらの要求事項の収集は、まず、立上げプロセスで行い、成果物に対する要求事項も含めて、立上げプロセスで検討し、プロジェクト憲章作成時には、まず概略として認識されていることがベストではないかと考えています。

つまり、立上げプロセスで作成する
「プロジェクト品質の家」の(1)

の部分が要求事項収集のアウトプットとすべきでは、と思っています。

「要求事項収集」プロセスのインプットは、
・プロジェクト憲章
・ステークホルダー登録簿

ツールと技法は、
・インタビュー
・フォーカス・グループ
・ファシリテーション型ワークショップ
・グループ発想技法
・グループ意思決定技法
・アンケートと調査
・観察
・プロトタイプ

アウトプットは、
・要求事項文書
・要求事項マネジメント計画書
・要求事項トレーサビリティ・マトリックス

です。

ツールと技法の部分は、「顧客ロードマップ」が適用できます。

アウトプットである要求事項トレーサビリティ・マトリックスには、
・ビジネスのニーズ、好機、目的、目標等に対する要求事項
・プロジェクト目標に対する要求事項
・プロジェクトのスコープやWBSにおける要素成果物に対する要求事項
・成果物設計に対する要求事項
・成果物開発に対する要求事項
・テスト戦略、テストシナリオに対する要求事項
などについての、優先順位やステークホルダーの要求事項に対する受入れ基準などを記載し、プロジェクトの工程が進むにつれ、その基準が満足できているかどうかを追跡することができるマトリックスです。

つまり、「プロジェクト品質の家」の(1)の顧客の期待とその受入れ基準を決めておき、プロジェクトのそれぞれの工程でそれらの実現度合いをチェックすることによって、要求事項トレーサビリティ・マトリックスとすることができます。

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 4.プロジェクト活動計画書の書き方
 5.予算計画書の書き方
 6.リスク計画書の書き方
 7.ステークホルダー計画書の書き方
 8.コミュニケーション計画書の書き方
 9.プロジェクト計画全体の整合と各計画書の調整
 10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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