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第6回 新製品開発とビジネスケース(2013.02.08) 2/3

新井 宏征


◆ビジネスケース
このような新製品開発のプロセスの中で、重要な役割を果たすのがビジネスケースである。先ほどの図で示しているように、ビジネスケースはコンセプト化の結果として出てきた新製品のアイデアをまとめたものであり、実際の製品開発のプロセスを始める際に必要となる。

ビジネスケースとは、製品そのものの解説はもちろん、競合との関係などの市場分析の結果や財務分析の結果などをまとめた文書である。この文書は主に新製品開発のプロジェクトの妥当性を評価するために作成するもので、一般的に次のような項目が含まれる。


1. エグゼクティブサマリー
2. 現在の状況
3. 製品説明
4. 市場分析
5. 仮説と不確実性
6. 製品開発計画
7. マーケティング計画
8. 財務分析
9. 補足資料
10. 実行計画


名称だけではわかりにくい項目2の「現在の状況」は、なぜこのタイミングで新製品を開発するのかという理由を、企業が置かれている状況や既存の製品ポートフォリオの情報などを含めて分析する部分である。

ビジネスケースには、この連載の第3回「プロダクトマネジメントにおける「インテリジェンス」」で紹介したような情報収集活動の結果を整理し、盛り込むことになる。そのため、先ほど示した10個の項目はあくまでも目安であり、取り扱う業界や製品によって柔軟に項目を追加、変更していく必要がある。先ほどビジネスケースは新製品開発プロジェクトの妥当性を評価するために使われるものだと紹介したが、そのような目的を考えると、ビジネスケースを「プレゼンテーション資料」としてとらえ、プロジェクトの評価を行うステークホルダーにとって必要な情報を盛り込むことが肝要である。

   

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著者紹介

新井 宏征

SAPジャパンにて、BI関連のソフトウェア導入業務に従事した後、2007年よりシンクタンク勤務後、2013年に独立。主に法人関連分野のコンサルティング業務に従事。主な著書に『スマートグリッドの国際標準と最新動向2012』、『グーグルのグリーン戦略』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』などがある。
Facebook上でプロダクトマネジメントのグループも管理している。

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