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第3回 プロダクトマネジメントにおける「インテリジェンス」(2012.10.30) 1/2

新井 宏征


今回は第1回の「プロダクトマネジメント体系」で紹介した「コンペティティブ・インテリジェンス」について考えていく。

◆「インテリジェンス」を集める意義
「インテリジェンス」という言葉は、日本でもここ数年で関連する書籍や雑誌記事が出回り、特に解説などすることなく使われることが増えてきた。あえて解説をする場合、同じように「情報」と訳すことができる「インフォメーション」と区別して紹介されることが多い。その場合、「インフォメーション」は事実に関する情報であり、一方、「インテリジェンス」は、「インフォメーション」を分析し、意思決定に用いることができる情報という違いがあると言われている。例えば、情報システムの分野で一昔前から注目されている「ビジネスインテリジェンス」というソリューションがあるが、これは企業内に蓄積されたさまざまなデータを収集し、必要があれば外部のデータも取り込み、意思決定を行う際に利用されるソリューションとしての活用が期待されているものである。

つまり、「インテリジェンス」とは単なる情報ではなく、意思決定につなげることができる意味のある情報なのである。このため「情報」という訳語ではなく「知識」という訳語を充てて区別している場合もある。ドラッカーが「知識とは、個人や組織が何らかの成果をもたらすような行動を可能にし、何かあるいは誰かを変えるものである。知識とは何かを変えるものであることを認識するだけでも、何かが変わっていく」と『新しい現実』の中で書いているように、「インテリジェンス」は企業活動を前進させるために必要な要素なのである。

◆「コンペティティブ・インテリジェンス」を超えて
企業においてインテリジェンスを扱う活動のことを「コンペティティブ・インテリジェンス」と呼ぶ。この分野の古典的な著書である『Competitive Intelligence』では、「コンペティティブ・インテリジェンスとは、自社の目標を推し進めるために、競合の活動や一般的なビジネストレンドに関する情報を収集し、分析する体系的なプログラム」だと定義している。

この定義では、「コンペティティブ・インテリジェンス」というと、その名のとおり競合企業の状況を収集し、分析することに重きを置いているように理解できるが、プロダクトマネジメントの文脈では、その解釈を拡大し、図の赤い枠で囲った部分、つまり「市場分析」、「顧客分析」、「競合/自社分析」のことを含めて考えるのが適切である。


   

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著者紹介

新井 宏征

SAPジャパンにて、BI関連のソフトウェア導入業務に従事した後、2007年よりシンクタンク勤務後、2013年に独立。主に法人関連分野のコンサルティング業務に従事。主な著書に『スマートグリッドの国際標準と最新動向2012』、『グーグルのグリーン戦略』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』などがある。
Facebook上でプロダクトマネジメントのグループも管理している。

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