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第9回 プロジェクト目標マネジメント(QCDSのC)その2(2013.01.25)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆プロジェクト目標マネジメント(QCDSのC)

「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の9回目です。
前回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)のコストマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら、後半は原価企画について書きました。
今回は、その続きです。

コストマネジメントにおいては、プロダクトコストとプロジェクトコストの関係を考える必要があります。

一品受注型プロジェクト(ITだとスクラッチ開発)ですと、プロジェクトコストは、一品プロダクトを生産(開発)するためのコストであり、

ほぼ、「プロジェクトコスト=プロダクトコスト」

となりますが、生産型プロジェクト(電気製品など、ITだとパッケージ)では、プロジェクトコストはプロダクトコストの中の製品開発費となります。

製品(電気製品やパッケージなど)を販売する場合、販売価格は製品原価と利益から構成され、プロジェクトコストは製品原価の一部となります。

また、販売価格はどのように決まるかというお話を前回、原価企画の中でしましたように、顧客が購入してくれる価格となります。

そして、利益はどのように決まるかと言いますと、出発点は、企業の中期利益計画もしくは長期利益計画です。

そこから年度ごとの目標利益が決定され、その中で、開発されるプロダクトグループ(製品系列)やプロジェクト、プログラムが決定されます。

このように、顧客が購入したい価格(販売価格)と目標利益から製品原価やプロジェクトコストが決まっていきます。

プロジェクトにおけるコストマネジメントは、製品原価(プロジェクトコスト)を決定する「原価企画」と原価企画で決定された製品原価(プロジェクトコスト)を守るための「原価維持」と「原価改善」から構成されています。

このあたりは、PMBOK(R)では、あまり触れられていないいませんが、「コストマネジメント計画(コストマネジメントの方針などを決める)」が原価企画であり、その後の「コスト見積り」「予算設定」「コスト・コントロール」プロセスが、P2Mでは「原価維持」「原価改善」で述べられていると言えるでしょう。

「原価維持」とは、原価企画で決定された目標原価を達成するためのマネジメントです。電気製品やパッケージ開発などの生産型プロジェクトの場合、プロジェクト実施時のプロジェクトコストの維持だけではなく、製造段階の製造コストについての維持についても、プロジェクト段階で考慮することがコストマネジメントとしても求められています。実際には、それぞれのステップにおける標準原価を決定し、実際原価との差異をムダとして認識し、それを排除するための活動です。

「原価改善」とは、プロジェクト実施時において、目標原価を維持するための改善活動であり、そのために、下記の手法を使います。

・VE(Value Engineering)
・JIT(Just In Time )
・TQC(Total Quality Control)
・TPM(Total Productive Maintenance)

また、プロジェクトのコストマネジメントで不可欠なことは、活動基準原価管理(ABM)で行うということです。

ABMは、従来の原価計算に含まれている間接費(ビルの賃貸料や通信費、マシンのリース料など)の配賦方法についての考え方です。

ABMはその間接費の配賦について、従事する人数や作業場所の面積で配賦するのではなく、作業に従事した時間や生産した量によって配賦する計算方法です。

そのことによって、原価低減を図るためのポイントを発見しやすくすることができます。
現在は、それらの間接費をレートとして、人件費の中で含めていることが多いようですね。

次回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDSの『C』に関するアーンドバリューマネジメントについて、取り上げたいと思います。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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