◆プロジェクト目標マネジメント(アーンドバリューマネジメント)
「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の10回目です。
前回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)のコストマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら書きました。
今回は、アーンドバリューマネジメントです。
アーンドバリューマネジメント(Earned Value Management)は、PMBOK(R)の中ではタイム知識エリアとコスト知識エリア双方の監視・コントロールプロセス群で取り上げられ、ツールの説明としてはコスト知識エリアにて書かれています。
このことからも、タイム、コスト双方の進捗を測定するツールだということがわかりますが、進捗はタイムだけではなく、コストとともに判断しましょうねと言う点から、アーンドバリューの取り上げられ方が年々、大きくなっている理由でもあります。
それでは、どのように測定するのかを簡単にみてみましょう。
アーンドバリューマネジメントでは、スコープ、コスト、スケジュールの測定結果を統合して判断するために、3つの指標を使います。
・プランド・バリュー(PV):アクティビティやWBSの構成要素ごとの予算を時系列に積み上げた金額であり、グラフ化した曲線をPMB(パフォーマンス測定ベースライン)と呼びます
・アーンド・バリュー(EV):すでに完了した作業の価値であり、PMに対して、どの程度完了しているのかを表します。これは、スコープとスケジュールの測定結果となります
・実コスト(AC):実際に使った金額であり、コストの測定結果です
この3つの指標からスケジュール、コストの進捗を判断します。
・スケジュール差異(SV)=EV−PV:負の値であれば、遅れています
・コスト差異(CV)=EV−AC:負の値であれば、予算超過です
・スケジュール効率(SPI)=EV/PV:1より小さければ遅れています
・コスト効率(CPI)=EV/AC:1より小さければ予算超過です
また、アーンドバリューはこのままの調子でいけば、という仮定において、完成時総コスト(EAC)を予測をすることができます。
EAC=(BAC(完成時総予算)ーEV)/CPI + AC
−−−−−−−−−−−−−−
ここが残りは今までの調子で進みますという計算の部分
これまでは、CPIの示す数値の通りの進捗だけれど、これからは元の計画通りの進捗ですという楽観的な場合は、
EAC=AC + BACーEV
−−−−−−ここが残りは計画通り進みますという計算の部分
このように計算式に違いはありますが、
「このまま行けば、約○%予算オーバーです」
などと主観的な予測ではなく、理論的な計算式で完成時総コストを予測することができますので、プロジェクトの今後の方針を決めるうえで、大変便利な指標となっています。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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