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第8回 プロジェクト目標マネジメント(QCDSのC)(2012.12.28)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆プロジェクト目標マネジメント(QCDSのC)

「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の8回目です。

前回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)の『D』タイムマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら、書きました。
今回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)のコストマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながらみてみます。

コストマネジメントは、プロジェクトを完了するために必要な予算を策定し、その予算を目標として、スコープとして定義された成果物を作成するためのすべての作業、そのために必要な資源をコストにして最適化、管理するプロセスです。

コストは、f(数量,単価,効率)という式で表現され、数量(物量、作業量)、単価、効率の3変数から構成されています。コストを最適化するとは、この3変数をマネジメントすることで、予算の目標を達成していくことです。

その実施手順は、次の通りです。

・遂行要領の設定:予算化の前にコントロール方針、WBSのコントロール単位の決定
・予算設定:見積りによって、実行予算を設定する
・プロジェクトのキャッシュフローの予測:
     プロジェクト期間に資金不足にならないことの確認
・コントロールサイクル:進捗管理を行い、必要に応じて、コスト変更などを行う

PMBOK(R)のタイムマネジメントプロセスでは、アーンドバリューについて記述していますが、P2Mでは、アーンドバリューマネジメントを個別マネジメントとして取り出している点が異なり、PMBOK(R)では、キャッシュフローについての記述はありません。

また、見積りの際に考慮すべき点として、次の項目を挙げています。

・コンティンジェンシー:リスクに対する予備費
・アローワンス:見積り手法の不完全さを補完するために付加される数量または金額
・エスカレーション:見積り移行に発生する単価変動などの調整のための予備費
・ジェネラルオーバーヘッド:
        管理部門人件費などの間接費でプロジェクトで負担すべき金額

そこで、見積りの際の算出方法ですが、通常は、積算にて、必要な予算を算出しますが、売価からプロジェクトでの予算を決定する考え方として、『原価企画』があります。

以前、TV番組にて「アイリスオーヤマ」さんの特集を見ました。日経コンピュータなどでも取り上げられていますので、多くの方がご存じだと思います。
「アイリスオーヤマ」さんは、透明プラスティックの収納箱をはじめて発売した会社としてとても有名で、ホームセンターでは多くの商品が陳列されています。

番組では、商品開発の方法を取り上げていましたが、社員は1年に1度何か新しい商品を提案することが求められているそうです。その中で選ばれた商品は、考案した社員が取締役や一般社員が参加する企画会議にてプレゼンするそうです。

そこでは、提案が良ければ、開発着手が決定するのですが、驚いたことは、そこで、販売価格が決定することです。
その販売価格は、原価を積算するのではなく、「いくらだったら購入するのか?」を社長が社員に質問し、そこで決定しています。

つまり、一般女子社員が買いたい価格から開発がスタートするということです。まさに、これは原価企画の考え方だなあ、と感動しました。

ここにも、「アイリスオーヤマ」さんが大きく成長したポイントがあった、と思った次第です。

次回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDSの『C』のマネジメントについて、もう少し、取り上げたいと思います。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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