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第11回 リスクマネジメント(2013.03.30)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆リスクマネジメント

「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の11回目です。
前回まで、プロジェクト目標マネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら書きました。今回は、リスクマネジメントです。

P2Mでは、「リスクマネジメントは、プロジェクトの方針(計画・契約)などプロジェクトがおかれた環境において、まず、プロジェクトに対するリスクマネジメント方針を策定することから始まる。次に、プロジェクト全体の方針・契約書類などの中に存在する制約条件や不確実性を分析し、リスク事象を特定する。それらを定量的に分析・評価し、対応策を準備する。これを執行し、プロジェクトのライフサイクルを通して、実施状況を評価・監視する」と書かれています。

これらをプロセスで表示し、PMBOK(R)と比較しますと、

 P2M               PMBOK(R)
(1)方針決定           →リスク・マネジメント計画
(2)リスクの特定         →リスク特定
(3)リスクの分析・評価      →定性的リスク分析、定量的リスク分析
(4)リスクの対応策の準備(計画) →リスク対応計画
(5)対応策の実施         →リスクの監視コントロール

と、ほとんど同じプロセスであり、フローも同様です。

「(1)方針決定」では、企業・遂行組織のリスクマネジメントに対する基本方針に基づいて、プロジェクトに適したリスクマネジメントの戦略と方針を決定します。

「(2)リスクの特定」では、プロジェクトで管理すべきリスク事象をできるだけ多く特定します。

「(3)リスクの分析・評価」では、リスクマトリクスなどでリスクを定量化し、評価します。また、リスク事象の発生影響額と発生確率でリスクの金額評価をします。

「(4)リスクの対応策の準備(計画)」では、分析・評価されたリスクを軽減・除去するために、優先順位に従って、対応策を準備します。

「(5)対応策の実施」では、準備された対応策を実施し、実施状況の評価・監視を行います。

また、リスクの定義においても、P2Mでは「リスクは、プロジェクトの最終的な目標を阻害すると予想される結果(損失、事故などの1つの事象もしくは状況)と起き得る確率からなるものである。」とあり、PMBOK(R)では、「リスクとは、もし発生すれば、プロジェクト目標にプラスあるいはマイナスの影響を及ぼす不確実な事象あるいは状態。」とあり、ほとんど同じような表現です。

大きく異なるのは、P2Mでは、プログラムとプロジェクトのリスクマネジメントの差異について、触れている部分です。

次回から、PMBOK(R)であまり触れられていない部分に特化して書いていきます。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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