◆プログラムのリスクマネジメント
「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の12回目です。
前回まで、リスクマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら書きました。今回は、プログラムのリスクマネジメントです。
プロジェクトのリスクは、プロジェクトの最終的な目標を阻害すると予想される結果(損失、事故などの1つの事象もしくは状況)と起き得る確率からなるものであり、そのマネジメントは、
(1)方針決定
(2)リスクの特定
(3)リスクの分析・評価
(4)リスクの対応策野準備(計画)
(5)対応策の実施
のプロセスで順に行います。
ところが、プログラムは、複数のプロジェクトが結合したものであり、統合的にマネジメントを行いますので、個別のプロジェクトのリスクを合計したものだけがプログラムのリスクではありません。
プログラムでのリスクとは、次の3種類が存在します。
(1)プログラムを構成するプロジェクトが失敗するリスク
・あるプロジェクトの失敗がプログラム全体に影響を与える場合
・プログラム内でそのプロジェクトを選んでしまったことによるリスク
・など
(2)他のプロジェクトが他のプロジェクトに影響を与えるリスク
・あるプロジェクトのリスク対応が他のプロジェクトに影響を与える場合
・など
(3)プログラムのミッションが達成できないリスク
・目的、スケジュール、スコープなどが当初のミッションから逸脱する場合
・など
このようなプログラムのリスクをコントロールするためには、個別のプロジェクトのリスクをコントロールするだけでは行うことができません。
そこで、プログラムでは、個別のリスク要素を特定し、分析し、対策を立てるのではなく、プログラムのミッションを達成するために、プログラム全体でバランスを保持しつつ、対策をたてることが重要になってきます。
個別のプロジェクトリスクが当該プロジェクト内で閉じる場合は、プロジェクトのリスクマネジメントとしてだけ行いますが、他のプロジェクトに影響を与える場合には、バランスを考慮して、プログラムとして対処する必要があります。
また、プログラム全体に影響がある場合は、プログラムとしてのバランスをとるために、
・当該プロジェクトを切り捨てる
・当該プロジェクトの機能を別のプロジェクトで代替する
・当該プロジェクトのリカバリーを行う
など、プロジェクトだけの部分最適化ではなく、プログラムとしての全体最適化を行います。
それでは、このバランスをとるために何が大切かといいますと、プログラム内のプロジェクトの優先順位が最も重要ですが、それ以外に、プログラムのデザインが関連してきます。
次回は、いよいよ、プログラムマネジメントについて、書き進めていきます。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。