第191話 コンセプチュアルな人々(14)ステークホルダーマネジメント(2026/06/15)
◆相手のことを考える
先日、50キロウォーキングに参加してきました。参加者2,000人弱、完走率91%だったそうです。50名ずつ3分間隔で出発したのですが、やっぱり、集団になってしまい、どうしても、団子状態で歩道いっぱいになり歩いてしまいます。前から来る歩行者や自転車は避けれるのですが、後ろから来る自転車にはなかなか対応することができていませんでした。
大声で、「自転車が通ります」と叫ぶのですが、声が届きません。届く範囲の人たちは後ろを向き、適宜避けてくれるのですが、届かない場合は、どうにもなりません。そこで、順繰りに前に声をかけてくれる人もいますが、あまり良い状況にはならないことが多かったです。
おとなの自転車であれば、自分で声をかけて抜いていっていましたが、自転車の子供は途方に暮れていました。
ちょっとでも、後ろの気配を感じてくれていればいいのに、と思いました。仕事でも、そのように周りのことを考えずに動いているのかなあ、とも思っちゃいました。
また、ペアで歩いていて、両側から抜いていき、すぐ目の前で横に並び(合流し)、そしてスピードを落とす人たちがいました。高速道路でも、追い越し車線で追い抜いた後に車間距離をとらずにすぐ走行車線に入り、スピードを落とすという運転をしているのかなあ、とも思います。
あまりにも相手のことを考えていません。そんなことをされたら、嫌な気持ちになると思うのですけれど、反対に、嫌な気持ちにならないから、しているのかもしれません。そうすると、感じることはいろいろであり、気になる人も気にならない人もいるってことに、気づく必要があるのかもしれません。
◆立場を変えてみる
どうすれば、相手のことを考えることができるのでしょうか。簡単なことのように思います。自分が相手になってみたらいいのではないでしょうか。
自分が自転車に乗っていて、前に同じゼッケンをつけた人たちが広がって歩いているために、通ることができなかったらどう思うのでしょうか。
私であれば、すぐに主催者にクレームを入れてしまいます。クレームが多くなれば、来年は開催できなくなり、自分は参加することができなくなります。今(歩道いっぱい広がって歩くのは楽)が良くても、来年はダメなのです。相手のことを考えることによって、今の自分の行動の長期的な結果が見えてくるのです。考えない場合は、目の前の結果しか見ることができません。
ステークホルダーマネジメントは、組織、グループを対象にマネジメントすることもありますが、より有効なのは、ステークホルダー個人へのマネジメントです。そして人間ですので、感情の塊りであり、感情に対するマネジメントです。
こんなことを言ったら、こんなことをしたら、どう思うのだろうか、を考えてマネジメントするのです。どう思うのかは、人それぞれです。したがって、相手の性格、業務、目指すべきところなどによって、それぞれです。
すると、相手を知らないと、有効なマネジメントができないことになります。
どうやって、知るのか?
それは、相手になってみるのです。
◆相手になってみる
相手になってみるためには、現時点の相手だけではなく、過去の相手を知らないと現時点の相手になれません。将来をどのように考えているのかを知らなければ、現時点の相手にはなれません。
相手の過去は身上調査などをすることはできませんし、そんな暇もありません。ですので、言動から洞察するのです。前号でもお伝えしましたが、なぜだろう、を考えてみるのです。なぜ、こんなことを言うのだろう、なぜ、こんなことをするのだろうか、を考えてみるのです。
自分と相手は、育った環境も受けた教育も働いている職場の文化・風土も全く異なりますので、もしかすると、同じことを言っていて、表現が全く異なるだけかもしれません。相手の世界でものを見る、相手の世界で考えるのです。自分の世界に固執するのではなく、それらから全く解き放たれ、相手の世界に入ってみるのです。
それができるのは、自分を第三者の立場から、俯瞰的、客観的に見ることができる人です。そして、時間軸を移動できる人です。今、自分はこういう考え方をしているが、20代でであったら、この状況をどうとらえるだろうか?何年後だったら、どうとらえるだろうか?などを考えられる人です。
そんなことを考えるのは無駄だと思われるかもしれません。ですが、何年後かは必ず来るのです。それを考えていた人と考えていなかった人では、その何年後かになった時の対応が大きく異なるでしょう。
長期的に考えるかどうかです。
◆ウォーキングを終えて
約12時間歩き続きましたが、一人で参加しましたので、いろんな方たちとお話をしたり、いろんな方たちを観察しました。暗くなると、歩道でも危ないですので、ヘッドライト着用が推奨でした。赤信号で止まりますと、前の方との距離が広がり、道があっているのか不安になってしまいます。コースの曲がり角には必ずボランティアの方がいて、道案内をしていただけるのですが、車の運転同様、前の方がいらっしゃる方が何となく安心です。
LEDがついた警備員さんのような上下スーツを着用されている方がいて、見かけたときはとても安心しました。目立とうという気持ちより、みんなを励ましたり、安心させてくれているのですね。その気持ちがとても嬉しくて、その方のために何かお手伝いをしたい、という気持ちになります。きっと、普段の生活やお仕事もそのようなスタイルの方で、ステークホルダーマネジメントもスマートに行っておられることでしょう。
相手のことを考えることができる人は、コンセプチュアルな人々です。ステークホルダーマネジメントを上手に行っている人は、コンセプチュアルな人々です。
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得
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