第190話 コンセプチュアルな人々(13)なぜだろうを考える(2025/01/21)
◆相手の立場に立つ
前回は、相手の立場で考える人は、コンセプチュアルな人々という話をしました。相手の立場で考えるということは、相手の立場に立って考えるということですが、それは、立ち位置だけではありません。
その回りの状況(コンテクストや前提)がこうだから、回りにはこんな人がいて、こんなことを考えているだろうから、これからこう進みたいから、自分はこんな価値観だから、自分はこんな立場だから、などが相手の立場に立つということです。それでは、それらは、どのように想定するのでしょうか。
・相手の回りの状況(コンテクストや前提):
注意して相手を観察すれば分かります
・相手の回りにいる人たちが考えていること:
回りにいる人は誰かは観察すればわかりますが、その人たちが考えていることは推測するしかありません
・相手が進みたい方向性や方針:
上司であれば、日頃聞いている内容ですが、親しくない場合は、推測するしかありません。また、言っていることと思っていることが全く逆の場合もありますので、相手の性格や野望を推し量らないとわかりません
・相手の価値観:
親しくないと分からないことが多いですが、これまでの言動で推測できる場合も多いはずです
・相手の立場:
職位などは明確に分かりますが、影のフィクサーや、裏回しが上手な人の場合、どんな立場の人でどんな思惑て発言・行動しているのかは、全くわかりません。以上のように、観察すれば分かることと、推測しないと分からないことが混在しています。
また、観察もボーっとして見ていたのでは分からない場合もあり、注目すべきポイントをじーっと見る必要があります。じーっと見るとは、一瞬のタイミングを逃さずに見ることと、ポイントを時系列で見ることによって、観察としてわかる場合があります。
月下美人という花は、夕方から朝にかけて、1年に1度だけ咲くそうです。上手く育てれば数回咲くそうですが、どちらにせよ、咲く前に強い香りが漂うそうですので、その兆候をつかみ、何日後に咲きそうだ、と推測するようです。時系列で観察し、そして、咲く一瞬のタイミングを観察するそうです。
では、推測するとは、洞察とも言いますが、観察した現象などとデータの分析結果などの部分的なことから、全体や見えない部分を見抜くことです。観察がなければ、洞察もありません。また、ある程度、正確なデータがないと洞察もできません。データ収集やデータ分析も相手の立場に立つためには必要になります。
そこで、どんなデータを収集すれば、分析すればいいのでしょうか。それは、観察した結果が正しいかどうか、妥当かどうかをデータでチェックするために収集する場合が多いです。
例えば、駅の改札口が2つあり、どちらの改札口が有効に使われているかどうかを調べるために、1時間に出入りする人の総数を測ることはデータ収集であり、その出入りする人たちがその後、どの方角へ向かうのかもデータ収集であり、明らかに別の出口の方が便利だけれど、不便な方を使っている人の総数もデータ収集によって、分かることでしょう。
そして、その人たちの表情を観察する必要が出てくるかもしれません。不便な方の出口を使っている人たちが「やれやれ」という表情をしていれば、もしかすると、改札口のあり方に不満を持っているかもしれない、との洞察ができるかもしれません。
それは、なぜ、その人たちは不便な方の出口を使っているのだろうか、なぜそのような表情なのか、と考えることによって得られた洞察かもしれません。
◆なぜだろうを考える
このように、なぜだろうを考える人は、コンセプチュアルな人々です。役職として部長だから、顧客だから、製造メーカだから、ミドルエイジだから、こう考えるだろうと、一般的なことだけではなく、この価値観だから、このキャリアだから、このスキルだから、と、その人独自の、それまでの人生の歴史、これから望んでいる未来を含めて、相手の立場で考えることができる人は、コンセプチュアルな人々です。
◆PMO研修参加者
ある企業で、「事例に学ぶPMOの立上げと運営」の講義とワークショップを行ったことがあります。その中で、PMOとしてのどんな行動が、プロジェクトマネジャーやプロジェクトメンバーから喜ばれるのか、との過去の経験を共有する場がありました。
その中で、Aさんから「リスクの兆候を見つけ、プロジェクトマネジャーに報告することで喜ばれたことがある」との発言がありました。また、他の方からは、Aさんだけが、特にその行動をとることができるとの発言がありました。そこで、Aさんに「なぜ、その兆候を気づくことができるのですか」と質問したところ、「ちょっとした違和感に気づいたときには、必ずなぜだろうと考えることにしている」との返答でした。
リスクの兆候に気づくためには、なぜだろう、と考える必要があるようです。
◆コンセプチュアルな状態
なぜだろう、を考えることは、「見えないものを把握し、価値を判断し、全体を描き、思考、行動している」状態であるコンセプチュアルな人々には欠かせません。見てすぐ分かるもの、見て価値が判断できるもの、一部から全体が容易に分かるものであれば、条件、状況から結論が直結です。なぜだろうを考える必要もありません。
ですが、見ても分からないもの、価値が容易に判断できないもの、複雑すぎて全体を見渡せないものであれば、なぜそうなっているのだろう、を考えない限りその状況を判断することも、結論を出すこともできません。
しかし、時は待ってくれませんので、少ない情報の中で決断しないといけません。
少ない情報からなぜそうなっているのだろうか、と洞察し、見えないものを把握するのです。なぜだろうと考えないと、洞察することはできません。その際には、コンセプチュアル思考の5軸の中の特に、大局的/分析的、直観的/論理的、長期的/短期的の軸を往復することが有効です。ぜひ、試してみてください。
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得
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