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相手の立場で考えるためには、相手のこれまでの人生や今の役割、価値観などを洞察しないと考えられない

第189話 コンセプチュアルな人々(12)相手の立場で考える(2024/12/17)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代

◆相手の立場に立つ

相手の立場で考えよう、とよく言われています。顧客と案件について打合せする際には、顧客の求めているモノはなんだろうか、と顧客の立場で考えないと理解することはできない、とのことで、自分が顧客だったらこう考えるだろうと、相手の立場に立って、思考をめぐらします。

例えば、PMO部門にて、リスクチェックリストなどの標準化を考える場合には、プロジェクトマネジャーがリスクマネジメントする際にリスク特定や対策をより効率的に実行できるように、また、リスクに対して必要な対策を準備していることで、上位組織、顧客などのステークホルダーが余計な心配をしないように、それぞれの立場にたって標準化を進めていることでしょう。

◆相手の立場で考える

親子関係であれば、親は、子供に対して、悪いことをした場合には叱る、良いことをした場合には褒めるなどの躾(フィードバック)をしていますが、子供の目線になり、現実的にしゃがんで、話すことが推奨されています。それは、子供の立場に立って、対等に子供の目線で話すということなのですが、このような話をセミナーで行うことがあります。

その際に、自分には子供がいないから、実感として理解できない、とおっしゃる方がいらっしゃいます。そのような場合には、ご自分も子供の時があったはずですので、その時のことを思い出してみましょう、と伝えることにしています。
そうしますと、目線になってくれた人となってくれなかった人の違いが理解できるはずです。そして、親になった時には、完全に子供の立場に立って考え、子供に接することができるはずです。

子供の立場に立つのは、記憶が残ってさえいれば、ほとんど全員の方がその立場に立つことができますし、そのような心の底から自分のことを思って注意してくれた、褒めてくれたことはやはり感動しますので、記憶にも残るようです。ところが、顧客、上位組織やその他のステークホルダーの立場になったことがない人はどうすればいいのでしょうか。その立場に立って考えるためにはどうすればよいのでしょうか。

そして、たとえ、その立場に立って考えることができたとしても、顧客、上位組織、その他のステークホルダーのその役割の方すべてが同じ考えを持っているわけではありません。それぞれの考えがあり、それぞれの価値観があり、それぞれの求めているモノがあるわけです。価値観が異なれば、求めるモノも大きく異なることが多いはずです。

そして、逆鱗のポイントも大きく異なりますので、あの顧客と上手く話ができたので、今度も同じように進めていこう、と考えることは方針としては間違っていませんが、全く同じように進めようとしても上手くいくはずがありません。相手の立場で考えるということは、役割に立つだけではなく、その方の考えていることを想像して、だから、こういう受け答えをするのではないのだろうか、こういう結論を出すのではないだろうか、と洞察することです。

◆コミュニケーションマネジメントセミナーでのエクスサイズ

現在でも、PM養成講座知識マネジメント講座でレゴの組み立てのエクスサイズを実施していますが、以前、コミュニケーションマネジメントセミナーでも行っていました。グループで演習を行いますので、テーブルを2つないし3つ連結して、その回りに4,5人座って、講義を受けています。そして、レゴの組み立てを行う際にも、レゴの周りをぐるっと囲んで組み立てを進めています。エクスサイズでは、レゴを作る人は作り方を知らず、説明する人は作り方を知っていますが、説明するだけで、自でが作ることはできません。コミュニケーションだけで、作り方を伝えるのです。

これまで100以上のグループにて、そのエクスサイズを実施しましたが、1グループだけ、ぐるっと囲むことなく、片方に全員が集まり、同じ目線、同じ方向でレゴを見ていました。ぐるっと囲み、対面で話しますと、自分の右は相手の左であり、説明するときにややこしくなってしまいますし、見る角度が違いますので、裏と表についてもカン違いすることが多いようです。

それらすべてを避けるため、全員で同じ向きに座り、説明していました。それだけでも、コミュニケーションミスがなくなり、すべての情報を共有できるのです。普段から、そのような姿勢でコミュニケーションされている方が、エクスサイズのリーダーをされているようでした。これも相手の立場で考えていることになります。

相手の立場で考える人は、コンセプチュアルな人々です。役職として部長だから、顧客だから、製造メーカだから、ミドルエイジだから、こう考えるだろうと、一般的なことだけではなく、この価値観だから、このキャリアだから、このスキルだから、と、その人独自の、それまでの人生の歴史、これから望んでいる未来を含めて立場で考えることができる人は、コンセプチュアルな人々です。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得

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