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マネジメントには正解がないため、行うべきことは、考える、試行錯誤する、知識を創造することであり、そのためには内省が必要。どれだけ、感じれるか、どれだけ広く深く思うことができるかが、内省のポイント。

第187話 コンセプチュアルな人々(10)振り返り、内省(2024/10/29)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代

◆マネジメントには正解がない

マネジメントには正解がない、とよく言われます。マネジメントとは、「成果を上げさせるためのツール」とドラッカー博士が言われたように、過去ではなく、これからの業務などにおいて、マネジメントをすることによって成果が上がるとことになります。具体的には、目的目標を定めて、PDCAを回していくことです。

過去のことであれば、あーすればよかった、こーすればよかった、などと考察することによって、数学の問題を解くように、ほとんどの方が納得する正解にたどりつくことができるかもしれません。ですが、これからの成果を上げるためにマネジメントをするわけですので、誰もが納得する論理的な正解を見つけることは困難です。
正解ではなく、妥当な解(方法)を見つけて、そのやり方で、進めていしかないと思われます。

また、過去のプロジェクトでうまくいったやり方をもう一度やる、他社で成功した事例を自社に取り入れる、ことを行うこともありますが、必ず成功するとは限らないようです。まったく同じ状況で同じ人が過去の時空で行うことはできません。他社で成功したから、まったく同じことを自社に取り入れて成功するはずがありません。

そうすると、マネジメントで行うべきことは、考える、試行錯誤する、知識を創造する、ということです。
もちろん、過去のプロジェクトや他社の事例は参考にしますが、今度のプロジェクトの特徴は、内部環境や外部環境は、想定される問題点は、などを考えて、このようにやろうと仮説(計画)を決め、それをやってみます(実行)。上手くいかなければ、仮説を修正しまた行う、という仮説検証、試行錯誤を繰り返し、妥当な解を見つけながら、進めていくことです。

その中で、上手くいったこと、失敗したことなどを知識(ナレッジ)として蓄積・創造することで、次のプロジェクトに備えていくことが、正解のないマネジメントで必要なことであり、そして、知識を創造するためには、振り返りが必要です。

◆振り返りとは

知識創造のツールとして、アジャイルなどで有名なSECIモデルがありますが、ここでは、簡単に経験学習モデル(デービット・コルブ)を取り上げます。次にステップ(ループ)で、振り返りを進めていきます。

経験:新しい経験に関わることへの開放性や自発性(具体的な経験)
振返:これらの新しい経験をさまざまな視座・視点から見ることのできる観察と振り返りの能力(省察的観察)
教訓:この経験から統合的な考えや概念を生み出すことのできる分析的能力(抽象的概念化)
適応:これらの新しい考えや概念を実際の実践に使うことのできる決断や問題解決のスキル(実践的試み)

具体的な経験をし、振り返りを行い、統合したり、概念化することで、知識を生み出し、次にそれを使ってみる。
これらをぐるぐる回して繰り返し学習するモデルです。振り返りでは、プロジェクトで経験したことをさまざまな視座・視点から見て、それらを統合的に概念化して、教訓として残していくことです。
さまざまな視座・視点とは、プロジェクトマネジャーが感じたこと、メンバーが感じたこと、ステークホルダーが感じたことを、例えば、PMBOK(R)の知識エリア別にまとめ、それらを統合します。ポイントは、具体的な経験、感じたことを統合・概念化することです。具体的な事象で教訓を残しても、同じ事象は、ほとんど2度とは発生しませんので、次に活かされることはありません。

活かされるためには、どのレベルの概念化・抽象化、どのレベルで統合するの
かがポイントです。これは、教訓を使う人が、概念化・抽象化された事象を自
分ごととして感じることができるかどうかのレベルで概念化・抽象化します。

そして、振り返りには、
・個人が成長するため、自分の暗黙知を獲得するために行う個人の振り返り
・プロジェクトが成功するために行うプロジェクトでの振り返り
・組織がプロジェクトマネジメント力を強化するために行う組織の振り返り
の3つのレベルがあります。

プロジェクトで行った振り返りの結果は、組織の知見、ナレッジとして残していきますが、どれだけ次のプロジェクトで活かせるかは、振り返り結果やナレッジがどれだけ、適切なレベルで抽象化・概念化されているかによって決まってきます。

◆内省とは

プロジェクトの振り返りは、プロジェクトマネジャーだけではなく、メンバーも集まって行いますが、個人がどれだけ振り返ることができるかによって、プロジェクトでの振り返り結果(振り返りの成果)が、決まってしまいます。すると、組織のプロジェクトマネジメント強化のための知見、ナレッジもすべて、個人がきちんと振り返れるかどうかによることになります。

個人が振り返りできるかどうかは、内省できるかどうかです。内省とは、リフレクションとも言い、鏡に映った自分を見て、自分の言動を振り返り、気づきを得ることですが、まず、何があったのかを思い出さないと気づけを得ることができません。そして、その時、何を感じたのか、何を思ったのか、自分の取った行動の結果について、どう感じたのか、どう思ったのか、を思い出さないと気づきはありません。

個人の振り返りは、自分が成長するために、また、次に活かすために、自分の知見、ナレッジを貯めるために行います。つまり、何かを感じないと、何かを思わないと、内省はできないことになり、振り返りもできません。

どれだけ、感じれるか、どれだけ広く深く思うことができるかが、内省のポイントです。

プロジェクト知識マネジメント〜質の高い振返りでプロジェクトを変える

というセミナーを開催していますが、レゴ組み立てプロジェクトの振り返り、これまでの経験の振り返りなどを演習にて行っています。何かに気づける方と何も思わない方がいらっしゃいますが、何も感じないと、何も思わないと、振り返りは全く進まないようでした。

振り返りができる人、内省ができる人は、コンセプチュアルな人々です。そうすると、個人の成長の進み具合が…


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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得

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