第179話 コンセプチュアルな人々(2)リスクマネジメント(2024/01/26)
しばらく連載が止まっていましたが、鈴木道代執筆にて、再開します。よろしくお願いします。
◆リスクマネジメント(PMBOKガイド(R)第7版)
リスクマネジメントは、PMBOKガイド(R)第7版では、次のように取り上げられています。
プロジェクトマネジメントの12の原理・原則の中では、「リスク対応を最適化すること」
プロジェクト・パフォーマンス領域では、「不確かさパフォーマンス領域」の中に、曖昧さ、複雑さ、変動性と共にリスクがあります。
昨今はVUCA時代と言われていますが、VUCAとは、
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
の頭文字をとった言葉(概念)で、1990年代に米国陸軍で使われ始めた言葉ですが、一言でいえば、
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」のことです。
PMBOK(R)では、不確かさの中に、リスクが含まれると定義しています。
どちらにせよ、プロジェクトマネジャーは、「リスク対応を最適化」することを行動の原理原則とし、不確かさをマネジメントするために、リスクマネジメントを行う必要があります。
◆第6版のリスクマネジメント
ひとつ前のPMBOKガイド(R)第6版では、そのためのプロセスとして、次のプロセスを定義していました。
【計画】
・リスク・マネジメントの計画
・リスクの特定
・定性的リスクの分析
・定量的リスクの分析
・リスク対応の計画
【実行】
・リスク対応策の実行
【監視コントロール】
・リスクの監視
実際のリスクマネジメントにおいては、第6版のプロセスをテーラリングし、社内標準フォーマットに沿って、実施されているようです。
もちろん、受注プロジェクトであれば、受注前のリスク審査があり、受注後には、プロジェクトマネジャーが、リスクの特定からリスク対応の計画を実施されています。
◆標準リスク
全く新しいプロジェクトであれば、リスクの特定は、ブレーンストーミング、専門家へのヒアリングなどのリスク会議を開きますが、そうではない場合は、標準リスク一覧のようなリスク管理表の中から、本プロジェクトに該当するリスクを抽出し、リスクの大きさを判定し、リスク対応策を策定し、リスク計画を作成します。
ここで、標準リスクの記載が、概念的か具体的のどちらかかと考えてみましょう。
具体的に記載されている場合もあるでしょうが、通常は、抽象的、概念的だと思われます。対象プロジェクトのどれにでも当てはまるリスク、と考えますと、概念的、抽象的な記載にするしかありません。
しかし、リスク計画において、リスク事象を抽象的に記載しますと、原因が特定できませんし、リスク発生の結果はプロジェクト納期遅延、予算オーバーしか考えられません。
リスク対応策は、リスク事象の発生をなくすか、確率を減らすか、リスク発生の結果の影響を減らすか、影響を第3者に立て替えてもらうかのいずれかかです。
リスク事象、原因、結果が抽象的であれば、対応策も抽象的になり、「頑張ろう」という掛け声だけになってしまうかもしれません。
よって、有効なリスク対応策を考えることができないことになります。
リスク事象は具体的であればあるほど、原因、リスク発生の結果が明確になり、リスク対応策が具体的になり、対応策の実行が確実になります。
概念的な標準リスクから、自分のプロジェクトでそのリスクが、どのタイミングで、どのように発生するのか、を具体的に考えることが要求されます。コンセプチュアル思考の、概念の世界と形象の世界の往復が必要なのです。
また、リスクを特定しますと、数十のリスクが挙がってきます。通常は、それらすべてのリスクの対応策を考えるのではなく、ほぼ半数程度の大きなリスクの対応策を考え実施します。
そして、「リスクの監視」プロセスにおいて、リスクの大きさが変化していないか、新しいリスクが特定できるか、などをモニタリングします。ここは、観察(形象の世界)や洞察(概念の世界)にてリスクへの感度、リスクマインドを上げ、リスクマネジメントを行います。
リスクマネジメントにおいては、概念の世界と形象の世界の往復を適切に行えば行うほど、リスクの特定、リスク対応の計画が適切になってくるのです。
適切なリスクマネジメントができる人は、コンセプチュアルな人々です。
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得
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