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プロジェクトリカバリーでPMOが行うべき3つのこと、まずリカバリーの状況判断、そして、リカバリー計画の策定の支援、リカバリーに関する知見を蓄積

第8回 プロジェクト運営技術支援〜プロジェクトリカバリー(2)(2005.01.28)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆リカバリーにおけるPMOの役割


プロジェクトリカバリーの中でPMOがすべきことは大きく分けると3つに分けることができる。

(1)リカバリーの状況判断の手順を明確にすること
(2)リカバリー計画の策定を支援し、方針を提示すること
(3)リカバリーに関する知見を蓄積すること(レッスンズラーンド)

の3つである。もう一度、ポイントを確認しておくが、

・リカバリーとはプロジェクト作業(あるいはマネジメント)とは別次元のタスクである
・PMOはプロジェクトマネジメント実施部隊ではなく、支援部隊である

の2点に注意しておいてほしい。

◆状況判断の手順の明確化


状況判断の手順を明確にするために、PMOが行わなければならないことは4点ある。
まず、最初は
・リカバリーの指標の確立をすること
である。リカバリーの指標とはリカバリーオペレーションへの移行を必要とするかどうかであり、また、リカバリーに移行した場合にはリカバリーの方法を決定する材料になる。

これは中国の企業D社の事例であるが、D社ではリカバリーの指標を
 スケジュール、コスト、品質、個人工数、リスク度
の5項目に対する計画差異とし、これらの指標の組み合わせでパターンを分類、パターンごとにソリューションを提供するというシステムを確立している。これらの組み合わせによって、スケジュール未達成、コスト未達成などの20ほどの状況を設定し、ソリューション化している。

次に、

 ・プロジェクトを評価し、問題領域を見極める

必要がある。これがいわゆる状況分析である。ただし、上に述べたように、状況のパターンの整理ができていれば、どのパターンに該当するかを見極めていく作業になる。
実際のところ、プロジェクトのトラブルパターンは多いようで、さほど多くない。失敗は繰り返すというが、いろいろな企業を見ていて感じるのは、プロジェクトマネージャーに関係なく、同じトラブルが多いことだ。これはトラブルの主要原因にステークホルダがあることの証であろう。

もうひとつ、行うべきことがある。それは、状況のパターン化と同時に、リカバリー方法(ソリューション)をきちんと整理しておくことである。上に述べたように、トラブルがパターン化できれば、リカバリー方法はソリューションというレベルでは共通化できる。しかし、個々のリカバリー方法は当然案件によって異なるので、ソリューションを開発するとともに、個別案件で適用したリカバリー方法を整理し、ソリューションへのフィードバックをしていく必要がある

次回はリカバリー計画の策定支援について述べる。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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