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プロジェクトリカバリーでPMOが行うこと、プロジェクト状況の分析と報告。リカバリーを行うかどうかは、PMOではなく、そのプロジェクトの承認者(ライン)が決定する問題である。

第9回 プロジェクト運営技術支援〜プロジェクトリカバリー(3)(2005.02.01)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆ガバナンス


問題が明確になったら、いよいよ、リカバリーに入るが、ここで大きな問題になるのは、誰が決めるかである。前回までの説明はこのあたりを明確に説明してこなかったので、この辺ではっきりさせておきたい。

まず、前回まで説明したプロジェクトの状況把握は、基本的にはプロジェクトの承認者の責任である。例えば、ある部で、部長がプロジェクトがプロジェクトを承認した場合には、その部長(ライン)の責任である。この場合には、PMOが関与していくケースは必ずしも多くない。主に、ラインの中で、組織マネジメントの問題として捉えられ、組織として自己解決していくことになる。

これに対して、プロジェクト監査の仕組みがあり、それをPMOが担っている場合には、PMOの責任になる。

いずれにしても、リカバリーを行うかどうかは、PMOではなく、そのプロジェクトの承認者(ライン)が決定する問題である。すると、PMOとしては、それまでのアセスメントに基づき、ラインに提言を行わなくてはならない。その際に、「プロジェクトリカバリーデシジョンパッケージ」と呼ばれるツールが使われることが多い。これは

 ・アセスメントの詳細報告
 ・プロジェクトの状況の分析
 ・リカバリーをするか、否かの判断

の3つについてまとめた報告書である。最後のリカバリーをするか否かの判断としては、明確な場合にはPMOとしての結論を出すが、プロジェクトの状況が微妙な場合には

 ・リカバリーをして、プロジェクトを続ける
 ・リカバリーをせずに、(通常の計画変更で)プロジェクトを続ける
 ・プロジェクトを中止する

という3つの選択肢を想定して、それぞれのオプションについての評価をし、それを報告するというケースが多い。

ラインは「プロジェクトリカバリーデシジョンパッケージ」を受けて、トラブルの発生したプロジェクトに対してどのように対処をするかを決定することになる。

◆リカバリーマネジメントリーダー

このような流れでリカバリーをする場合には、リーダーのスタッフィングをまず行う。今まで説明してきたように、リカバリーは通常のプロジェクト実施とは異なるモードであり、一時的に目的も変わる。つまり、「ゴール(成果物)を目指す」ことが通常モードのプロジェクトであるが、リカバリーでは

 ゴールを目指すために安定したマネジメントを可能にする

ことが目的(ゴール)になる。言ってみれば、イラクで選挙をするまでに暫定政府ができたが、暫定政府のようなイメージだ。
そこで、まず、行うことが、「プロジェクトリカバリーマネージャー」と呼ばれるリカバリーのリーダーを決めることだ。
これには、PMOで当該プロジェクトのアセスメントを担当していた人が就任する場合もあるが、まったく別の、リカバリーに対するスペシャリティのある人材を持ってくる場合が多い。これで、一時、当該プロジェクトのプロジェクトマネージャーは「リカバリーマネージャー」になり、プロジェクトが進んでいく。
また、もともとのプロジェクトのプロジェクトマネージャーは、プロジェクトを離れることもあるが、多くの場合には、リカバリーマネージャーの補佐的な役割に回ることが多い。特にトラブルの真っ最中であること、時間的に厳しいことを考えた場合には、リカバリーマネージャーだけでは状況の打開が難しいからである。
次に、リカバリーマネージャーは、リカバリーチームのメンバーを決定する。

以降、次回。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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