No21. 権限を使わない影響力《一般》(2014.10.10)
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【目的】プロジェクトの関係者からコミットメントを得る
【用途】マトリクス組織型のプロジェクトの計画作成時、実行時、コントロール時
【効用】協力関係を構築することができる
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◆上司ではないので、指示・命令はできない
PMstyle Kit のNo16. クロスファンクショナルチーム(1)では、マトリクス組織型プロジェクトにおけるチームマネジメントについて、クロスファンクショナルチームの観点から述べました。
No16. クロスファンクショナルチーム(1)
No17. クロスファンクショナルチーム(2)では、クロスファンクショナルチームでの考え方、リーダーシップ行動について述べました。
No17. クロスファンクショナルチーム(2)
また、No18. クロスファンクショナルチーム(3)では、クロスファンクショナルチームついて、チーミングの観点から述べました。
No18. クロスファンクショナルチーム(3)
本号では、マトリクス組織型プロジェクトにおいて、関係者からコミットメントを得るために必要な「権限を使わない影響力」についてです。
通常、マトリクス型組織のチームメンバーは、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャー以外に報告書を提出すべき上司がいます。
そして、その上司は、チームメンバーの上司ですので、権限を持っていますので、指示、命令を出すことができます。
しかし、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーは、チームメンバーの上司ではありませんので、指示、命令を出すことができません。ここが、マトリクス組織型プロジェクトのマネジメントの難しいところですね。
◆エンゲージメント
プロジェクトリーダーや、プロジェクトマネジャーがとれる1つの方法として、チームメンバーの上司にプロジェクトに対するスポンサーシップを発揮してもらうということがあります。
チームメンバーに直接、影響力を使わず(権限のある影響力は使えないので)、権限を持っている人に影響力を発揮してもらうという方法です。
そのためには、その上司が、プロジェクトスポンサーであれば、特に重大な問題はないのですが、そうではない場合には、その上司には、当然のことながら、プロジェクトの味方になってもらう必要があります。
つまり、ステークホルダーマネジメントとして、その上司にプロジェクトに対してエンゲージメントを持ってもらうようなマネジメントを計画し、実行する必要があります。
また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーは、チームメンバーに対しても、権限を使わない影響力を発揮するためには、まず、チームメンバーと信頼関係を構築することが必要です。
そのためには、キックオフミーティングなどで、プロジェクトが開始した時点において、対面(フェースtoフェース)でコミュニケーションをとります。
その際には、メンバーの人となりやプロジェクトに対する熱意などを話題にするようなインフォーマル(非公式)なコミュニケーションを行います。
地理的に分散したバーチャルなチームの場合には、定期的に会うことや、ツールにてコミュニケーションを行うための予算をコミュニケーション費用として、必ず、取っておきます。
◆オーナーシップ
そして、計画を作る際には、WBSなどで定義されたワークパッケージ(最少単位の成果物や作業)に対して、説明責任、作業責任、作業を行うための権限を誰が持つのか、という「オーナーシップ」を定義し、それらをメンバーに委任します。
それは、「オーナーシップ」を発揮してもらうことと、何かを交換するというレシプロシティ(互恵関係)の原理を適用することによって行います。
交換するものは、カレンシーと呼ばれ、例えば、
・成果:作業によって知識を得る、新しい技術を習得する、チャレンジをする
・組織における承認:報酬を得る、注目される、表彰される
・個人に対するもの:信頼を得る、ネットワークが増える
などであり、そのカレンシーについて、明確にすることで、オーナーシップにコミットメントしてもらいます。ここらあたりが、エンゲージマネジメントになります。
レシプロシティ、カレンシーについては、
コラム「影響力の法則」
に詳しく掲載されていますので、ご覧ください。
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3.影響力の法則(R) ・影響力とは何か?
・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する・コンセプチュアルスキルとは
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5.ステークホルダーと良い関係を作る
・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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