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第77回 イノベーションにおける制約と主体性(2015.04.08)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆制約はイノベーションの源泉

この連載の中でも制約がイノベーションの源泉になることは何度か述べたが、『イノベーションは日々の仕事のなかに」(英治出版、2014)の著者パディ・ミラー氏はもう一つキーワードがあるという。それは主体性である。今回はこの問題について考えてみたい。

制約がイノベーションの源泉であるならば、リーダーは積極的に制約を与えればよい。たとえば、プロジェクトの予算を削るとか、リードタイムを短縮するとかである。それも数%という非率ではなく、松下幸之助が「3%のコストダウンは難しいが、3割ならばすぐにできる」と言ったとされるように30%といった比率にする。するとゼロベースで考えるので、解決策が見つけやすくなる。そこのイノベーションが起こるわけだ。


◆なぜ、制約がうまく機能しないのか

ところが現実にはなかなかそういう行動を取れない。一つの理由は失敗する確率が高くなるからだ。数%の制約であればカイゼンでなんとか失敗せずに乗り越えられるが、30%となるとどういう制約にしろ、プロジェクトを中止せざるを得なくなるような失敗に終わる可能性が高まる。

ただ、失敗リスクだけの問題かというとそうでもない。失敗のリスクの原因にもなる問題がある。それが主体性(イニシアチブ)という問題である。

松下幸之助が「3%のコストダウンは難しいが、3割ならばすぐにできる」と言ったという逸話は、トヨタ向けのカーラジオの話だとされている。トヨタは毎年、3%のコストダウンを要請してきたが、ある年、海外戦略の一環として30%のコストダウンを要請してきた。それに対して、事業部長は無理だと判断し、断ろうとした。そこで幸之助がそのようなアドバイスをしたという。


◆制約が機能するには主体性が必要

なかなかよくできた話だなと思うのは、毎年の3%のコストダウンはルーチンであり、事業部長からすれば自分の問題ではない。生産部門や設計部門に任せておけばカイゼンしてくれるだろう(というと言い過ぎか)。

ところが、30%になると製品設計から生産方式まで変更しなくてできない。すなわち事業部全体の問題であり、事業部長は当事者になるのだ。

主体性を持って行うというのは、こういうことだ。ところが、リーダーが目標を上げ、制約を課したときに、メンバーが主体性を持って対処するかというとなかなかそうはならない。」ムチャブリされた、失敗したら目標を決めたリーダーのせいだ」となるのがオチである。


◆イノベーションは現場が起こすゆえのジレンマ

日本の企業はよくボトムアップだといわれる。下(現場)から上がってきた目標を上(経営)が容認するというスタイルが一般的だった。そのようなやり方をする一方で、現場はできないかもしれない目標を設定し、苦境に陥ったときに経営が支援するという方法を取ってきた。プロジェクトXの多くのストーリーはたいていそうなっている。

ところが今はそうではない。ボトムアップにすると失敗をしない目標を掲げる。当然だが、その目標を達成できたところで大したインパクトはない。イノベーションも起こらない。

この問題を解決するには、上が制約を課すと同時に、そこで生じる問題を自分の問題だと思えるような工夫が必要である。


◆チームへの権限委譲を考えよう

工夫の一つは権限委譲であるが、これもまた、現場が責任を持って制約をクリアしていくという活動にはつながりにくくなってきている現実がある。そこで考えるべきはチームである。

チームで活動し、チームに対して権限委譲することを考えてみてはどうだろう。チームで活動することによって、制約に対するアイデアも出やすくなる。責任も感じやすくなる。

イノベーションは個人の活動だと認識している企業が多いが、この認識を変えることから始めるといいだろう。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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