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ダイバーシティーを競争に活かしていく活動が必要であり、それがダイバーシティーマネジメントである。ダイバーシティーマネジメントが行われない一つの原因として、具体的・形式的なレベルだけで意見を戦わせていることがある

第4回 本質に着目したダイバーシティー・マネジメントのイメージ(2018.09.21)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆はじめに


今回で4回目になります。第1回で概論をした後、第2回はコンセプチュアル・マネジメント的なリソース活用の方法第3回ではビジョンを重視したイノベーションの起こし方について考えてみました。

今回はダイバーシティーマネジメントの議論をしたいと思います。

ダイバーシティーは10年くらい前から日本でも経営のキーワードの一つだと考えられるようになっていますが、いまだに、その地位は確立したとは言えないのが現状です。その原因の一つは、適切なマネジメントが行われていないことだと思われます。


◆多様性は競争の邪魔になるという前提


ダイバーシティーが必要だと考えられている理由は幅広いのですが、「多様性を認める」ことに置かれているケースが多いようです。つまり、従業員が自由に自分の意見を述べ、組織としてうまく調整されていくことを目的にしているケースが多いのです。例えば、日本人男性とは発想の異なる女性や外国人を活用するというのはその典型だといえるでしょう。

一方で、こういう目的でダイバーシティーを考えていると、必ずと言ってよいくらい「そうありたいが現実は回らない」という意見が出てきます。そして、従来通りの考え方、やり方から脱却しないというパターンが目立ちます。

つまり、「多様性は競争の邪魔になる」という前提があるのです。もう少しいえば、組織がうまく運営できればビジネスもうまくいくと考えられています。これは正しいのでしょうか。

組織をうまく運営することはビジネスが成功することの必要条件かもしれませんが、十分条件ではありません。

そう考えると、この前提は正しいとは言えず、外す必要がありますが、そのためには、多様性を競争優位の源泉として活かすという発想が必要です。そのためにのプログラム、文化や制度を作り上げていくことが必要です。簡単にいえばダイバーシティーを競争に活かしていく活動が必要で、これがダイバーシティーマネジメントなのです。


◆ダイバーシティーマネジメントが行われない理由


では、どうしてダイバーシティーマネジメントが行われていないのでしょうか。そもそも、マネジメントが行われていないという問題もありますが、ここではこの問題については考えないことにします。

ダイバーシティーマネジメントが行われない一つの原因として、具体的・形式的なレベルだけで意見を戦わせていることがあげられます。

このようなスタンスですと、異なる価値観を持った人の間で意見が統合されることはまずありません。どちらかの意見が採用され、どちらかは捨てられます。あるいは、そのまま足して2で割るようなまとめ方がされることもあります。

例えば、ある製品群を成長させるに当たって、イノベーションを推進するか、より一層のコストダウンを図るかで対立があったとします。すると、具体的なレベルでいくら議論しても、どちらのか意見を採用するのかという範囲を超えることはありません。せいぜい、コストダウンに直結するような技術イノベーションを行うといった短絡的な考えが出てくるくらいでしょう。


◆本質を考えて統合を図る


ここで考えるべきは、イノベーションを行うことの本質は何か、コストダウンを行うことの本質は何かです。そして本質レベルで意見を交えると、具体的なレベルよりはるかに統合しやすくなります。

例えば、

イノベーションの本質 → 顧客に新しい機能を提供すること
コストダウンの本質 → 顧客に新しい用途を提供すること

だったとします。すると、これらは顧客に新しい価値を提供することに統合・集約できます。ここがうまく整理できれば、この統合された本質のもとで具体的な製品やサービスを考えることはそんなに困難なことではありません。

このような展開を担当者同士で行うことは難しく、やはりそのように導いていくマネジメントが不可欠です。

(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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