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マネジメントの役割はリソースをかき集めることでなく、生産性を上げるために、最大限にリソースの能力を活かすことである

第2回 リソースの優れた活用が優れた成果を生み出す(2018.06.18)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

前回、コンセプチュアル・マネジメントの全体像をお話ししました。今回から少し、具体的な話をしていきたいと思っています。どういう形で進めいこうかと少し悩みましたが、前回挙げた4つの問題に関するトピックスをランダムにお話しすることにしました。

ということで、今回は生産性からのトピックスを。テーマは、「リソースの優れた活用が優れた成果を生み出す」です。


◆業務の成果はリソースの豊富さが決める?

特にプロジェクトではその傾向がありますが、業務の成果はリソースの豊富さが決めると考えているマネジャーは少なくありません。

業務のスピードを上げたければ要員数を増やす、製品をたくさん売りたければマーケティング費用を増やす、仕事における影響力を高めたければ肩書を増やす、組織の機能を高めたければ予算を増やす、などなど。

この考え方が今の生産性向上活動のベースになっていると言ってもよいでしょう。

このように考えると、リソースの制約がある中で生産性を向上させるには無駄な仕事をしないことにつきます。それはそれで重要なことではありますが、イノベーションのような新しいことをやれば、結果として無駄になる作業は必ず生じます。

問題はここで、そのような作業を生じさせないためには、新しいことをしないという考え方になります。これまでのキャッチアップの時代のように、新しいことはせず、すでに行われていることのやり方を改善して行なうのが一番よいという理屈になるのです。これが実際にイノベーションの阻害要因の一つになっています。


◆前提を変える

このような考え方にならないためには、前提を変える必要があります。つまり、リソースの豊富さで成果を出すのではなく、

「リソースの優れた活用が優れた成果を生み出す」

ようにマネジメントをしていく必要があります。

実際リソースが増えれば増えるほどたくさんのことができると考えがちですが、それはベストの結果をもたらさない。リソースを追い求めず、手元にあるリソースのポテンシャルを活かしていくマネジメントが重要なのです。

例えば、プロジェクトを速く進めたければ、優秀な多くの要員を確保できればよいと考えているプロジェクトマネジャーは少なくないと思いますが、経験的にいえばそうではありません。メンバー間の相性とかいう話は抜きにして考えても、リソースを増やすとどうしても無駄が生じるものです。

マネジメントをせずに可能な限り大きい成果を得たいのであれば、リソースを豊富にするという方法はあり得ます、しかし、より大きな成果を得るにはリソースを活用する方法が問題になります。


◆リソースのポテンシャルを活かすには

一方で、「能力の低いリソースをいくら有効に活用しても、、、」と考える人も多いと思います。この問題には2つの側面があります。一つは、マネジメントとして十分に支援しているかという問題だ。そしてもう一つは仕事のやり方を決めていないかという問題です。

前者に関しては例えば

・メンバーのスキル習得スタイルを把握する
・スキルアップがうまく行かないときに、建設的アドバイスをする
・メンバーがさらに高度に仕事をする方法を伝える
・メンバーに期待するものを、明確な言葉で伝える
・継続的なスキルアップをアドバイスする

といった対応方法が考えられます。後者に関しては

・個々人のスタイルを考えた仕事の進め方を認める

ことに尽きるでしょう。

いずれにしても、マネジメントの役割はリソースをかき集めることではありません。最大限に能力を活かすことです。

生産性を上げるには、この点を今一度、思い出す必要があります。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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