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100年時代の働き方は、コンセプチュアルスキルで共通の何かを見つけること。VUCAの時代を迎えると、環境がどんどん変わっていき、過去の経験が役に立たないばかりではなく、曖昧さが増す中で経験に頼ることは誤った考えの元凶になるというネガティブな考え方をするようになる

雑談1:経験が役立たない時代!コンセプチュアルスキルで経験を武器にする(2019.07.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆経験が役立たなくなる時代

VUCAの時代を迎えて、経験の価値がなくなると言われています。

経験に対する考え方としては過去にもいろいろありましたが、概ね、ポジティブに捉えられてきました。日本が成長している間は、無条件に経験豊富であることは評価されてきました。世の中の変化が速くなって、経験がそんなに役立たないと感じる人がぼちぼちと出てきますが、それでもネガティブに捉えられることはありませんでした。「経験がないより、あった方がマシ」という感覚です。

ところが、VUCAの時代を迎えると、環境がどんどん変わっていき、過去の経験が役に立たないばかりではなく、曖昧さが増す中で経験に頼ることは誤った考えの元凶になるというネガティブな考え方をするようになってきています。

実際に企業をみても、経験に頼る企画をしている事業は時代遅れになっている感があるものが少なくないというのも事実です。VUCAの中ではある意味で当たり前のことだともいえるでしょう。

◆100年時代の働き方と経験

このような時代の流れの中で、必死にこれまでの経験に頼るやり方を肯定し、守ろうとしているのが大企業だともいえます。

ちょっと話が脱線しますが、ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授が「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社、2016)で、人生100年時代を提唱し、日本でもあっという間に受け入れられた感があります。

この中で大きな変化になるのが、一生、一つの専門で仕事をすることはほぼできなくなるだろうということです。

55歳定年の時代であれば、働き期間は30年です。最初の10年で仕事を覚え、いろいろと経験をし、次の10年でリーダーとして成果を上げ、最後の10年でマネジャーとして経験を後継に伝え、を育てるということができました。定年こと60歳、65歳と延びていますが、このパターンはあまり変わっていません。55歳以降はチームのメンバーになって誰にでもできる仕事か、これまでの経験したことのある仕事を担当するようになっています。

何人もの経営者から聞いたのは、今までのパターンで雇用できるのは60歳が限界だという話です。65歳まで雇用すると、55歳から60歳はなんとか面倒をみれても、最後の5年はどうしてよいか分からないと考える人が多いのです。そう考えると、今のパターンで対応できるのは、最大35年でしょう。

100年時代になって、仮に75歳まで働くことになったとします。すると、50年になります。50年間今のパターンで働くことはまず無理です。

問題は無理な原因です。これは、経験が古くなることです。例えば、一つの事業を考えてみると、せいぜい、30年です。言い換えると経験を活かして仕事ができるのは最大でも30年だということです。これが35年しか対応できないもっとも大きな理由です。

すると、残りの20年から15年間をどのように働くかという問題に直面することになります。そこで出てくるのが、人生で2つの分野に精通するということです。

◆分野を変え3年でトップになった人

一人の方をご紹介しましょう。Aさんという方で、電気メーカの営業職で、若いときは家電の大型量販店への営業を担当していました。ところが、45歳くらいの時にそのメーカは家電の事業をやめてしまいました。そこで、後半の人生の新たな仕事として通信機器の営業に取り組むことを選びました。

営業する商品、顧客、販売プロセスなども全く違いますので、一からです。しかし、彼は3年後には新しい部門でトップの成績を上げるような営業になっていました。

なぜ、そのようなことができたかと訊いたところ、「営業マンとしてのセンスだ」という答えでした。さらに深堀して聞いてみると、コンセプチュアルスキルを学んだことがセンスを意識することにつながったといっていました。家電でやっていた仕事を概念化して、それをベースに通信機器の仕事をしていったそうです。

こういうパターンのキャリアを歩んだ人を何人か知っていますが、例外なくコンセプチュアルスキルが高い人です。

働き方に関しては今は55歳を過ぎたら負担になるけど仕方ないということで、過渡的なやり方をしていますが、70歳が定年になるころにはこれまでの働き方では対応できなくなるでしょう。

そこでは考えられるのは、若いうちから2つとか、3つの情熱を傾けられる分野で仕事をし、専門知識を身につけていくのではなく、共通の何かを見つけることです。そのためには、コンセプチュアルスキルが有意義であることは上にあげたAさんの例からもお分かりいただけるのではないかと思います。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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