◆ゲームストーミング(5)〜ボタン(トーキングトークン)
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では、話し合いにおいて、トーキングトークンを次の発言者の指名ボタンにするゲームをご紹介します。
トークンとは最近では、銀行の本人認証としてワンタイムパスワードを表示する機械とのことですが、私の世代(認識)では、ネットワーク上で、送信するものがあるかどうかをチェックし、送信権を与える制御用語(トークンパッシング形式)です。
ここでは、トークンとは、話し合いなどで、話してほしい人を選び、その人にトークン(コインなどの目印になるものを渡し、発言してもらい、その発言者が次の発言者を選び(または、手を挙げた人の中から選び)トークンを渡す、という形式で使用するものです。
通常、ブレーンストーミングやグループ作業などで、すべての人に発言してほしい場合、一人ずつ順番に意見を言いましょう、右回りにしましょうか?などと、ストラクチャード・ラウンド方式で行います。
ストラクチャード・ラウンドについての詳細は、下記のコラムをご覧ください。
PMの道具箱 第24回 ストラクチャード・ラウンド
ただし、ストラクチャード・ラウンド方式には、以下の問題点があります。
・自分の順番がわかるので、気が緩み、他の人の話を聞き流す
・他の人の意見に対して、意見を言わなくても良いので、しっかり聞かない
・自分の順番が近づくと自分の意見をまとめようとして、全く、他の人の意見を聞か ない
これらの問題点を解決し、すべての人が発言する方法として、ボタン(トーキングトークン)があります。
ボタンは、トークンを使うだけの大変シンプルなゲームです。
が、次は自分が指名されるかも、という緊張感があり、また、トークンを渡す際に、「次はあなたの番ですので、よろしく」という親しみと信頼感が生まれます。
PMstyleでは、ワールドカフェ(参加無料)を開催していましたが、ある回で、テーブルに花の鉢植えとともに、果物や野菜の模型(フィギュア)を置いたことがありました。
ワールドカフェはカフェの雰囲気で話してもらうために、テーブルの飾りを置くとよいそうです。
組織活性化コンサルタントであり、ワールドカフェを日本に広められておられる香取一昭さんに教えていただきました。
花の鉢植えも果物模型も100均グッズなのですが。。。
そして、受付でグループ分けの抽選を行い、なす、りんご、オレンジなどの模型が置いてあるテーブルに座っていただきました。
ワールドカフェのラウンドでは、自然な流れとして、模型をトークンとして使い始めたようでした。
ブドウは大変持ちにくかったようで、両手で大切にかかえて、次に人に渡されていました。それが、かえって良かったようです。
受け取った人も、大切に両手で受け取り、ラポール(心が通い合っている状態、相互信頼の関係)が形成されたようで、対話が弾んだようでした。
そもそも、ボタン(トーキングトークン)は、ネイティブアメリカンの「トーキング・スティック」からヒントを得たそうです。
ネイティブアメリカンでは、集会にて、話す権利を表す儀式用の道具(羽や棒など)を持った者だけが話すことができ、その道具を渡すことによって、話し手を尊重し、そして、他の人は発言をせず、話を全部聞くという伝統だそうです。
ワールドカフェ、ワークショップ、身内の会議などで、ボタン(トーキングトークン)を使われてみたらいかがでしょうか?
果物の模型を使ったワールドカフェでは、次のラウンドに席を移動する場合に、好きな果物を選んで、移動される方もおられ、テーブル内のチーム感も盛り上がり、また、模型を持って話したいという意欲も高まり、模型をボディランゲージとして使い、ワールドカフェは大盛況でした。
◆参考資料
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
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6.まとめ
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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