第133回 洞察力を高める(1)(2020/11/18)
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◆洞察力を高める
プロジェクトでは、目的を実現するため、ストレッチした目標を達成するために、プロジェクト初期からだんだんパフォーマンスを上げることが求められています。プロジェクトのパフォーマンスを上げるためには、チームのパフォーマンスを上げることが必要であり、そのためには、個人のパフォーマンスを上げることがまず、重要です。
個人のパフォーマンスを上げるとは、単に効率を上げる(成果物作成のスループットを上げる)ことだけではなく、問題解決・課題解決の効率も重要です。解決の効率とは、システム思考の因果ループ図ではレバレッジポイント(てこの作用点)を見つけることができるかどうかです。
因果ループ図については、こちらのコラムをご覧ください。
PMの道具箱
第77回 システム思考のツール:因果ループ図
それを見つけるためには、目の前の現象だけを見るのではなく、大局的に見る必要があります。しかし、スタートは観察し、何かに気づくことです。大局的に考えるために、材料として、現物・現象が必要です。
『「洞察力」があらゆる問題を解決する』の冒頭に、ある警官の話が載っています。信号待ちをしていて、何気なく隣に停まっている新車の高級車を見ていたところ、運転手がたばこを吸っていて、その灰が助手席に落ち、それを指ではじいて落していたそうです。それを見ていた警官は、「自分の新車の中でたばこの灰を座席に落とし、しかも床に払って落としていた。信じられない!」と思ったそうです。そして、運転手は、車の所有者ではなく、友人から車を借りたのでもない、と考え、盗難車だと気づいたのです。高級車、新車、たばこの灰、座席を汚す、床に落とす、などを観察し、それは、盗難車だからだ、と考えたのです。
著者のゲイリー・クラインは、このような力を「目に見えない問題を見抜く力(洞察力)」と呼んでいます。車には盗難車とは明記されていませんので、目には見えていません。
しかし、観察した結果を統合し洞察し、盗難車と結論づけたのです。このような洞察力を高めるために、習慣づけたいことは、以下の通りです。
・新聞や雑誌の記事のタイトルから内容を連想する
・文章を書く
・経験のない課題に取り組む(通ったことのない道を通るといったことでもよい)
・芸術などに興味を持つ
著者のゲイリー・クラインも、警官の話は新聞記事から見つけたそうです。彼は、新聞や雑誌の記事の切り抜きを集めておき、数カ月おきに整理をしていました。どんな記事を切り抜くのかについて、記事全部を読んで判断する場合があれば、見出しを見て判断する場合もあります。そこで、洞察力を磨くことができます。
また、警官の話は自分は警官ではないので関係ない、と判断するのではなく、自分の仕事や生活において、同じ様なことを経験していなかったかな、と考えることが、コンセプチュアルスキルである洞察力、応用力を磨くことになります。
参考文献:「洞察力」があらゆる問題を解決する 著:ゲイリー・クライン
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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