◆システム思考のツール:因果ループ図
システムシンキング(システム思考)という「木だけではなく、森全体を見る」という思考法があります。
ロジカルシンキング(論理思考)では、通常、森全体からこの森の中には、どんな種類の樹木が生えていて、など、森を分析する目的に沿って、森の中に生えている木を分類し、最後には、木について分析していきます。
比較して、システム思考では、目的に沿って、全体像を捉えて分析していきます。森全体を分析する思考法です。
そもそも、システムとは、「互いに関係しあう複数の構成要素の集まりで、どの要素も他の要素との間に関係があり、目標達成のために時間を追って変化するもの」のことであり、何でもシステムであると言え、そして、そのシステムの構造を分析するツールがシステム思考です。
システム思考の由来は、マサチューセッツ工科大学にて「システム・ダイナミクス」というシステムを時系列にとらえる学問を1956年に創案したそうです。
そして、ピーター・センゲ教授が、「最強組織の法則」の著書の中でのフレームワークとしてシステム思考を提唱されたそうです。
「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」ピーター・M.センゲ著
では、どのようにシステム思考を使うのかと言いますと、ツールとして、「因果ループ図」と「時系列変化グラフ」がありますが、「森」を構造的に分析するためには、因果ループ図を使うことが多いようです。
PMstyleでも、コンセプチュアルシンキングの軸の一つである「大局的/分析的」に捉えるツールとしてや、全体像を分析するため、問題解決のツールとして、多くの公開セミナー、研修に取り入れています。
システム全体の構造を因果ループ図で表現し、その中で、最も少ない労力、コストで構造を変化させるポイントを見つけ出し、そのポイントに対して、対策を打つことで問題を解決していきます。
そして、そのポイントのことをレバレッジ・ポイント(てこの作用点)と呼んでいます。
因果ループ図では、時間とともに変動する要素、つまり、時間がたてば、量が増えたり減ったり、大きさが大きくなったり小さくなったりする要素と、それらの関係を矢印で描きます。
例えば、「ストレス」と「ストレス対策」という2つの変数で、関係を考えてみましょう。
「ストレス」が増えれば、通常、休みをとるということや音楽を聴くなどの「ストレス対策」を実施することで、「ストレス」が減ってきます。「ストレス」が多ければ多いほど、通常、「ストレス対策」を多く行います。
この2つの変数には、以下の関係があります。
「+」は向きが同じということを意味しています。
「ストレス」が増えれば、「ストレス対策」を増やすという意味です。
「−」は向きが反対を意味しています。
そして、図の「B」はそのループがバランスループであることを示し、「ストレス安定ループ」と、ここではネーミングしています。
ネーミングは自由につければOKですし、+や−もその時の状況での+や−です。
反して、安定せずにどんどん増える(減る)ループは、拡張ループと呼びます。例えば、「部下の業績」と「上司の部下への協力」の因果ループ図を見てみましょう。
このように、「−」がゼロか偶数の場合、拡張ループ(R)になり、奇数の場合、バランスループ(B)となります。
因果ループ図で描いたシステムの構造(全体像)を分析し、どんどん拡張するためには、また、拡張せずにバランスするためには、どの変数に手を加えたらいいのかを考えるために本ツールを使います。
「因果応報」、「情けは人のためならず」、「魚心あれば水心あり」などのことわざがありますが、因果ループ図を描くと、めぐりめぐって戻ってくる状況を大局的に把握することができます。
頭の中で、なんとなく、そうだろうなあと思っていたような状況を図に書いて整理できますので、個人の頭の整理にも、また、問題解決を行うためにチームで描いてみて状況を共有するツールとしてもお薦めのツールです。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。