第125回 人間関係のパターンを変える(3)〜プロジェクトという箱(2019/10/15)
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◆プロジェクトという箱
これまで、前々回、前回と「自分の小さな「箱」から脱出する方法」を参考に、「人間関係のパターンを変える」をテーマとして取り上げてきました。
第123回 人間関係のパターンを変える(1)〜自分の小さな「箱」から脱出
第124回 人間関係のパターンを変える(2)〜相手を人と見るのかどうか
本号では、プロジェクトを箱として考えてみましょう。
箱は、自分を正当化するモノであり、他者との境界であり、他者に対して良かれと自然に思うことに対して、自分を守るために、その行動をとらないことが「自分への裏切り」です。
そして、その裏切りをすることによって、箱ができ、その中に自分が入ってしまい、自分が楽なように、たとえ、自分が間違っていても正しいんだと言い聞かせ、自分の正当性を主張する論理にて行動してしまいます。
さて、プロジェクトには目的があり、その目的を実現するうえにおいて制約条件などがあります。が、目的を実現するために制約条件を守った計画を作成し、計画に従って行動しています。
果たしたいのは、目的であり、その目的とは何かを考えてみますと、もちろん、チームの目的もありますが、会社組織の戦略を実現するため、顧客の売上を上げて信頼関係を獲得するため、などのプロジェクト外部の目指したい何かを実現するためにプロジェクトは行っています。
すると、プロジェクトを箱ととらえて、箱の中の論理で、箱の中の人の考える論理で動くことが、「自分の小さな「箱」から脱出する方法」の中の「自分への裏切り」になってしまいます。
例えば、プロジェクトマネジャーである自分が、とても忙しい日に上司であるプロジェクトスポンサーから、明日までにプロジェクトの状況を報告してほしい。と言ってきたとします。自分は今日、とても忙しくて、状況を整理し、上司に報告するような書類を作成している暇はない、だから、適当にごまかす資料を作成し、適当に報告するようにしよう、と考えることが「自分への裏切り」になります。
本当は、適切な資料を作成し、報告することがプロジェクトマネジャーの務めだと思っているわけですので、そこで、「なぜ、上司はプロジェクトの状況の報告を求めているのか?」「もしかすると、今の状況を見て何かアドバイスをしようと思って資料を求めているのか?」と考えることができれば、プロジェクトという箱を作らずに、プロジェクトの外との信頼関係ができることになります。
(もちろん、プロジェクトスポンサーは、完全なるプロジェクトの外部ではありませんし、上司が支援しようと考えているとも限りませんが)
また、顧客が突然仕様変更を言ってきた際には、予算、納期などの制約条件の範囲内で、できることだけを考えようとするのではなく、「なぜ、突然言ってきたのだろうか?」「この仕様変更をすることによって、顧客はどんなメリットがあるのだろうか?」と考えることが、プロジェクトという箱を作らないことになります。
プロジェクトという箱を作らず、外部の人を邪魔をしてくるモノではなく人と見ることによって、信頼関係を構築することを考えてみませんか?
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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