◆ゲームストーミング(8)〜ギブアンドテイクマトリクス
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号では、探索のためのゲームであり、ステークホルダー同士の協力関係を可視化するゲームである、「ギブアンドテイクマトリクス」を取り上げます。
通常、プロジェクトの立上げ時に実施するステークホルダー分析では、ステークホルダーを特定し、そのステークホルダーはプロジェクトに対して、何を期待しているのか、また、プロジェクトはそのステークホルダーにどんな行動を期待するのかを分析します。つまり、ステークホルダーのプロジェクトへの協力関係を築くために、プロジェクト対ステークホルダーでどんな価値交換をするのかを考えます。
ギブアンドテイクマトリクスでは、プロジェクトとステークホルダーではなく、ステークホルダーの動機やステークホルダー相互の関係を明らかにすることが目的です。
ステークホルダー同士がお互いにどんな価値を与え合えるかということを知り、その価値交換をこれから行うことで協力関係、信頼関係を築いていくための情報の共有と意思決定です。
そして、本音にて、実行することで、リアルチームとしてのチームビルディングともなります。
リアルチームについては、こちらのコラムをご覧ください。
はじめてのプロジェクトマネジメント
第27回 リアルチームを作る
ギブアンドテイクマトリクスは、ステークホルダーを縦軸と横軸の両軸に記入し、縦軸のステークホルダーから横軸のステークホルダーに与えることができる価値を交差するセルに記入していきます。同じステークホルダーが縦軸と横軸に交差する対角線のセルには、プロジェクトに対して、そのステークホルダーが求めるものを記入します。つまり、プロジェクトに対する期待を記入します。
そして、縦軸のステークホルダーから横軸のステークホルダーに提供する価値は、質問をしながら記入していきます。
→TO
┌───┬───┬───┬───┬───┬───┐
↓│ │ A │ B │ C │ D │ E │
F├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
R│ A │期待 │価値 │価値 │価値 │価値 │
O│ │ │A→B│A→C│A→D│A→E│
M├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
│ B │ │期待 │ │ │ │
├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
│ C │ │ │期待 │ │ │
├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
│ D │ │ │ │期待 │ │
├───┼───┼───┼───┼───┼───┤
│ E │ │ │ │ │期待 │
└───┴───┴───┴───┴───┴───┘
少人数のリアルチームにて、プロジェクトを進めていく場合、立上げ時にチームメンバーが集まり、ワークショップにて作成してはいかがでしょうか?
◆参考資料
「プロジェクトを変える12の知恵」(著:影山 明、出版:日経BPマーケティング)
◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ステークホルダーマネジメント~良好な人間関係を築きプロジェクトを成功させる◆7PDU's
日時・場所:【ZOOM】2021年 04月 20日(火)〜21日(水)
13:30-17:00(13:20入室可)
※ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
※少人数、双方向にて、ディスカッション、ロールプレイを行います
講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/stake20.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube動画「ステークホルダーマネジメント」
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【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
2.ステークホルダー分析の手法
3.ステークホルダーの期待をマネジメントする
4.ステークホルダーのプロジェクトへの協力を得る
5.ステークホルダーと交渉する
6.ステークホルダーエンゲージメントを計画する
7.ケース
・顧客とのよい関係を作る
・上位組織を動かす
・チームを結束させる
8.ステークホルダーマネジメントの難しさ
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。