第32回 ステークホルダー分析はリスクマネジメントの第一歩(2020.05.19)
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◆ステークホルダー分析はリスクマネジメントの第1歩
前号では、OODAループを使ったステークホルダーマネジメントを述べました。
本号では、ステークホルダーマネジメントは、リスクマネジメントだ!ということを述べます。
PMBOK(R)第6版のステークホルダーマネジメントは、次のプロセスで進めています。
立上げ:ステークホルダーの特定
計画:ステークホルダー・エンゲージメントの計画
実行:ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント
監視コントロール:ステークホルダー・エンゲージメントの監視
要するに、誰がステークホルダーかを特定し、重要なステークホルダーのエンゲージメント獲得のための計画を立案し、実行するということです。
エンゲージメントについては、下記のコラムをご覧ください。
PMの道具箱
第65回 コミュニケーションログとエンゲージメントマネジメント
また、PMBOK(R)第6版のリスクマネジメントは、次のプロセスで進めています。
計画:リスク・マネジメントの計画
リスクの特定
定性的リスクの分析
定量的リスクの分析
リスク対応の計画
実行:リスク対応策の実行
監視コントロール:リスクの監視
リスクマネジメントには、立上げのプロセスがありません。立上げには、「プロジェクト憲章作成」「ステークホルダーの特定」の2プロセスのみです。
すると、その結果で、リスクマネジメントはスタートすることになります。ステークホルダーを特定した結果であるステークホルダーの一覧「ステークホルダー登録簿」がリスクマネジメントの重要なインプットです。
また、リスクマネジメントでは、リスクの大きさ(発生確率、影響度)を分析し、大きいリスクについて対応策を考えます。リスクはRBS(リスクブレークダウンストラクチャ)によって分類されますが、一般的な大分類として、
・要員リスク
・設備リスク
・顧客・市場リスク
・スコープリスク
・技術・品質リスク
・プロジェクト環境リスク
・マネジメントリスク
が挙げられます。
要員リスクは、チームメンバーやベンダーに関するリスク、設備リスクは設備を管理する人に関するリスク、顧客・市場リスクは、競合や顧客に関するリスク、スコープリスクは、それを決める人、作る人、使う人に関するリスクなど、リスクにはすべて人がからんできます。つまり、ステークホルダーに関するリスクなのです。
ステークホルターを特定し、彼らの影響度、リスク許容度(リスクに対して厳しいかどうか)、関心を分析し、重要なステークホルダーのエンゲージメントを獲得することが、リスクマネジメントの第一歩とも言え、リスクマネジメント自体を容易に進めることができるようになります。また、ステークホルダー分析は、計画作成の第一歩とも言えます。
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講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
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2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
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3.影響力の法則(R)
・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する
・コンセプチュアルスキルとは
・本質を見極める
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5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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